2018.2.18

写真家・林忠彦の展覧会が開催。激動の昭和、日本の原風景を写し込んだ作品を2部に渡って紹介

昭和を代表する写真家・林忠彦の展覧会が六本木・FUJIFILM SQUARE 写真歴史博物館で開催される。2部構成で半世紀に渡る活動を紹介する。会期は第一部が2018年4月1日〜5月31日、第2部が6月1日〜7月31日。

太宰治 酒場ルパンで 銀座 1946 ©林忠彦作品研究室
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 林忠彦(1918〜90)は昭和を代表する写真家の一人、作家・太宰治や坂口安吾の肖像写真で知られる。戦後、高度経済成長、バブル景気と移り変わる激動の昭和をスナップ、ポートレイト、風景写真と様々なかたちで写し取った。

 本展では、忠彦の四男で写真家の林義勝監修のもと、その半世紀におよぶ活動を2つの時代に焦点を絞り、2期に分かれた展示で振り返る。

焼け跡の母子 代々木 1947 ©林忠彦作品研究室

 第1部では初期の傑作『カストリ時代』に代表される戦後の東京と人々を記録したモノクロ作品を展示する。「カストリ」とは、戦後次々と発行された安価な大衆娯楽雑誌のこと。その多くが3号程度で廃刊となることから、3合呑むと潰れるとされた当時の密造酒「カストリ焼酎」から名付けられた。忠彦はその刊行ブームに乗り、世相をとらえた作品で人気写真家となった。

日本劇場の屋上 銀座 1947 ©林忠彦作品研究室

 第2部では、国宝や重要文化財に指定されている全国の茶室を被写体にした『茶室』、人生最後のライフワークとして息子・義勝とともに完成させた『東海道』といったカラー作品を展示する。病に冒されながら挑んだ、美意識と撮影技術の極みとなる作品が並ぶ。

有楽苑 如庵 有楽窓〈茶室〉より 1980 ©林忠彦作品研究室
豊川稲荷〈東海道〉より 1988 ©林忠彦作品研究室

 2期に渡って開催される本展は、忠彦の初期と晩年の仕事を対比的に紹介すると同時に、「写真は記録だ」と一貫した信念で活動を続けた忠彦の姿を示すものとなっている。