アジアのアートフォトの新たな地平を目指す。「T3 PHOTO ASIA」のキーパーソン2人に聞く【3/3ページ】

フォトフェアが描く未来

──今回のフェアを通じて実現したいことを教えてください。

高橋 今後はインディペンデントなギャラリーにももっと参加してもらうことでもっと豊かな写真の現場を見せられるようになるのが理想です。さらに、写真の購入だけでなく、保存や保管、そしてアーカイヴといった面にも注目しています。フェアは作品を販売する場ですが、作家や作品をしっかりとアーカイヴしていくことが重要だと考えています。写真家のアーカイヴや財団との連携、作品展示の機会を広げることでアーティストが活動を続けられる環境、作品が長く残り続けるような循環をつくるプラットフォームになれたら嬉しいです。大規模なフェアではそこまで手が届かないかもしれませんが、小規模なフェアだからこそ、こうした可能性を追求できるのではないかと感じています。

東松照明 プロテスト 東京 新宿 1969

──これはフェアのビジョンとも言えますね。

高橋 そうですね。アジア全体を視野に入れ、日本だけにとどまらず広い視点で考えていきたいです。日本にはしっかりとした写真史があり、韓国や中国、台湾にもそれぞれ独自の写真史があります。日本は「ニュー・ジャパニーズ・フォトグラフィー」という展覧会が1974年にMoMAで開催されるなど、幸運にも海外で評価を受ける機会がありました。これにより、日本の写真はある程度のマーケットが形成されています。こうした背景を自覚しつつ、アジアのハブとしての役割を果たすことが私たちの使命だと思っています。アジア全体を見据えたビジョンを持ち、東京やローカルにとどまらない展開を目指したいです。

──今後の計画や将来的な展望について教えてください。

キム 韓国からもコレクターが来る予定なので、展示の企画と併せて、彼らのための特別なアートプログラムも用意しています。彼らにはたんに学びの場としてだけでなく、アートの世界を楽しんでいただくことが大切です。また、美術館関係者とも密接に連携し、ギャラリストやコレクター、キュレーターに質の高いアートと情報、知識を共有する役割を果たしたいと思っています。

高橋 アジア全体をつなげ、マーケットを構築することが重要です。また、アーカイヴの充実にも力を入れ、アーティストが持続可能な活動を続けられる循環を作ることが私たちのビジョンであり、今後の目標です。

キム・ジョウウン(左)と高橋朗
出展ギャラリー一覧

Yumiko Chiba Associates(東京)、タカ・イシイギャラリーフォトグラフィー/フィルム(東京)、KANA KAWANISHI GALLERY(東京)、小山登美夫ギャラリー(東京)、MEM(東京)、PGI(東京)、POETIC SCAPE(東京)、Primary Practice(ソウル)、Sahngup gallery(ソウル)、MISA SHIN GALLERY (東京)、SPACE WILLING N DEALING(ソウル)、The Third Gallery Aya(大阪)、GALLERY YEH(ソウル)、ZEN FOTO GALLERY(東京)

編集部

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