キラキラした光の効果はレイヤーの「加算」モードで
当初の純朴な少女像から変容を遂げてきた、上田が描くキャラクターの「いもちゃん」。第3回では、紫の髪に猫のような黄色の瞳で、すっかり暗い過去を背負った「紫いもちゃん」に。さらに上田は、この紫いもちゃんに「宇宙」のようなイメージを加えたいようです。
藤ちょこ(以下、藤):前回の最後に、髪の毛の色を宇宙みたいにしたいと言っていましたが、どんなイメージなんでしょうか。
上田麗奈(以下、上田):彼女のまわりにシャボン玉が飛んでいるようなイメージで、髪の上に円をポンポンって。[鉛筆ツールのペン先を太くし、丸いスタンプを押すように、髪の上に薄い紫の円を描いていく]
藤:なるほど、デザイン画みたいな感じにしたいんですね。レイヤーの合成モードで「加算」という機能を使うと、いま描いている円がきらめいているような効果が出ますよ。
上田:[レイヤーの合成モードを「加算」に設定]うわぁ、すごい、キラキラ感が出てきた! なんか楽しくなってきました。[ポンポンと無心に円を描く]
藤:円の色を変えながら描いていくと、よりキラキラした感じになると思います。例えば黄色はどうでしょうか。
上田:黄色? [藤ちょこ先生が指定した黄色で円を描く]あら、可愛い! 暗い過去を負っていた「紫いも」にも、なんだか希望の光が射しますね。
一同:(笑)
開発:絵を描くのって、技術というより、センスや想像力が大事ですよね。上田さんみたいに次々とイメージが湧き上がってくると、それを表現するために様々な機能を使うので、自然と覚えていける。もうすでに初心者の絵とは思えないじゃないですか。
藤:そうですね。私には、こういう色の塗り方は思いつかないですから。こうやって自分なりの表現のしかたを積み重ねていくと、作品のオリジナリティにつながっていくと思います。
ペンツールを効果に合わせて使い分ける
上田:藤ちょこ先生、制服にも宇宙感を出したいです。
藤:制服の部分は、いまのように鉛筆ツールで円を描いていくより、エアブラシツールで服全体に宇宙のイメージを描いて、そのあとにレイヤーの「乗算」モードで服のシワや影を入れていく方法がいいかと思います。
上田:はい、それでやってみたいです!
藤:まず、宇宙のイメージを描く新しいレイヤーは、先ほどのように「加算」モードで設定しましょう。塗り分けたレイヤーの上に、エアブラシで全体に色の流れをつくったら、ペン先を変えながらいくつかの色で星を描いていくと、宇宙っぽくなると思います。星も温度によって様々な光の色がありますから。
黙々と作業に取り組む上田。しばし室内には、上田の持つペンタブレットのこつこつという音だけが響きます。やがて沈黙を破った上田の第一声に、藤ちょこ先生とスタッフはまたしてもびっくり。
上田:いま、心臓をつくりたくて......。
藤:心臓を、つくる?
上田:ここに心臓があるよ、って左胸のところに赤で描きたいです。あ、ここの部分はエアブラシじゃなくて、ペンのほうがいいかな。
開発:もう、「いもちゃん」じゃないですね。
上田:「コスモちゃん」誕生ー! ここから血が全身に巡っていく感じ......。[左胸の辺りに赤い円を散らしていく]
「乗算モード」で、下のレイヤーの色をつぶさずに自然な影をつける
上田:ふぅ、腱鞘炎になりそう。
藤:ずっと細かい作業を続けてますもんね。ここまで描けたら、新しいレイヤーを「乗算」モードにして制服の影を描いていきましょう。こうすると、いま描いた宇宙の部分を塗りつぶさずに影が描けます。ここでの作業は、前回に顔のまわりや髪に影を入れていったときと同じです。襟やスカーフの形、服と服の前後関係を考えて、影が落ちるところを塗っていきます。濃いなと感じたら、レイヤーの濃度調整してください。
上田:[制服の部分に陰影を入れて]はい、終わり♪
藤:はい、ではここまでの作業を保存して、今日は終了ですね。次回はいよいよ背景です。
上田:よろしくお願いします!
(第5回に続く)
第4回の講座内容を上田麗奈が動画でおさらい!
第4回「色を塗ってみよう!<服装編>」のイベントファイルを早回しで再生しながら、上田麗奈と藤ちょこ先生が、おさらいします。
@fuzichocohttp://fuzichoco.com