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ゴールデンウィークに見たいアートムービー&ドラマ ベスト20【2/2ページ】

NETFLIXで注目のアートムービー

『ヘルター・スケルター』

 岡崎京子による90年代のマンガ史に残る傑作『ヘルター・スケルター』。本作の映画化に際して監督を務めたのが、写真家/アーティストとして活躍する蜷川実花だ。全身を美容整形することによって手に入れた美貌でトップモデルとなった主人公・りりこ。しかし、その副作用と人間関係のストレスは、徐々にりりこの心身を蝕んでいく。

 沢尻エリカを主演に迎え、この残酷で美しい世界を、強烈な色彩表現とともに撮り下ろした蜷川。退廃に向かうからこそ惹かれてしまうその美しさの構造は、現代においても強烈なメッセージを発している。

『アンディ・ウォーホル ダイアリーズ』

 1968年、アンディ・ウォーホルは、ヴァレリー・ソラナスに銃撃され、瀕死の重傷を負った。その後、ウォーホルは日々の出来事や心情を日記として記録し始める。本作は、その日記をひも解きながら、関係者のインタビューとともにウォーホルの素顔に迫るドキュメンタリー・シリーズが『アンディ・ウォーホル ダイアリーズ』だ。

 20世紀美術における最大の巨匠と言ってもいいウォーホル。いっぽうで日記には日々の心情や悩みの吐露もつづられている。人間・・ウォーホルに迫る興味深いドキュメンタリーだ。

『ズカルスキーの苦悩』

 第二次世界大戦の戦火で母国ポーランドにおける名声と全作品を失い、戦後はアメリカで隠遁生活を送っていた「忘れ去られた天才彫刻家」スタニスラフ・ズカルスキーの数奇な半生を描いたドキュメンタリーが『ズカルスキーの苦悩』だ。

 晩年に彼を見出した若き芸術家たちとの交流や、独創的すぎる人類起源説、そしてレオナルド・ディカプリオの父を巻き込んだ数多の逸話を通して描く本作は、圧倒的な造形美の裏に潜む戦争の悲劇と個人の狂気、そして芸術が持つ不滅の魂を鮮烈に映し出す。

『聖遺物の神秘』

  『聖遺物の神秘』は、これまでカメラが入ることのなかった世界各地の聖地を巡り、キリスト教でもっとも名高い聖遺物の秘密に迫るドキュメンタリーシリーズだ。

 「いばらの冠」「聖杯」「ブラジルの聖十字架」など、人々に慈しまれるこうした聖遺物は、何世紀にもわたって数えきれない人々に影響を与えてきた。神話と伝説にあふれ、奇跡を起こすと信じられている聖遺物は、人類の歴史をかたちづくってきたとも言える。キリスト教と美術との関係を知る手助けともなるドキュメンタリーとなっている。

『空のハシゴ』

 火薬を用いた作品を多く手がけ、「爆発のアーティスト」とも称される中国人アーティスト・蔡國強のドキュメンタリー『空のハシゴ』。本作では、祖母の100歳の誕生日を記念して発表した《スカイ・ラダー》(2016)の制作過程と、蔡の人生が交差して映し出される。

 著名な書家である父との関係、文化大革命の影響を受けた幼少期、作品を開花させるきっかけとなった日本での生活、現在の中国への思い、そして、妻と子供と暮らす現在のニューヨークでの日々。

 ジャーナリストらによる冷静な考察も織り込まれた79分の映像は、ひとりの人物がどのようにアーティストとして成功したか、その輪郭をはっきりと描き出している。クライマックスでの《スカイ・ラダー》の美しい成功シーンも必見だ。

『ガードナー美術館盗難事件 -消えた5億ドルの至宝』

 美術史上最大の盗難事件と言われる「ガードナー美術館盗難事件」。イザベラ・スチュワートによって集められたヨーロッパ絵画の傑作の数々を収蔵するボストンのガードナー美術館で発生した盗難事件だ。

 警官姿の男たちによってレンブラントやフェルメールの貴重な絵画を含む13点が持ち去られ、被害総額は5億ドルともされるこの事件は現在も未解決。『ガードナー美術館盗難事件 -消えた5億ドルの至宝』は、この大胆不敵な強盗事件の真相を追うドキュメンタリー・シリーズだ。人類の財産ともいえる絵画はどこへ消えたのか。本作を見ながら推理してみてはいかがだろう。

アートを感じられるアニメーションも

『愛してるって言っておくね』

 第93回アカデミー賞短編アニメ賞を受賞した、優れたアニメーションで喪失の悲しみと、そこに見出す小さな希望を描いた短編作品が『愛してるって言っておくね』だ。

 娘を銃乱射事件でティーンエイジャーの娘を失い、互いの心のあいだにも溝が生まれてしまった夫婦。家を支配する悲しみのなかで生まれる回想、そこに娘が残した小さなメッセージ。すべてがセリフではなくアニメーションとして表現された、映像表現の豊かさも、そこに込められたメッセージも、あらゆる人に刺さるであろう傑作アニメーションだ。

『ラブ、デス&ロボット』

 NetFlixオリジナルのロボットをテーマとした、1話完結の短編アニメーションシリーズが『ラブ、デス&ロボット』だ。現在はシーズン4までが制作されている。

 各話ごとに世界各国のアニメーション・スタジオが個性を発揮した映像表現を展開。手描きから3DCGまで、その手法も多彩で見応えがある。人類の未来を憂いたくなるディストピアから、可愛らしい自律型ロボットの活躍する世界まで、1話ごとに異なるテイストが楽しめる。

『ブルーピリオド』

 山口つばさによる人気マンガ『ブルーピリオド』は、充実しながらもどこか満たされない日々を送っていた高校生・矢口八虎が美術の世界に身を投じ、受験を経て美術大学で作家になるために切磋琢磨し始める作品だ。

 『ブルーピリオド』のアニメ・シリーズは、八虎が美術予備校に通い、これまでの生活では出会ってこなかった、個性豊かな実力者たちと出会い、成長していく過程を中心に映像化されている。現在も原作は連載中だが、そのイントロダクションとしてこの年末年始に本作を見てみるのもいいかもしれない。

編集部