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2021.1.2

カルダーの回顧展から草間彌生の大規模個展まで。2021年に注目すべき海外展覧会ベスト5

2021年に海外の美術館で予定されている展覧会のなかから、注目のベスト5を会期順に紹介。坂本龍一やアレクサンダー・カルダー、草間彌生などの大規模回顧展や、女性アーティストが抽象芸術への貢献に着目した展覧会をピックアップしてお届けする。

(C) YAYOI KUSAMA, Courtesy of Ota Fine Arts
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「坂本龍一:观音听时|Ryuichi Sakamoto: seeing sound, hearing time」
(木木芸術社区、3月5日〜8月8日)

 日本を代表するミュージシャン、作曲家である坂本龍一による過去最大規模の展覧会「坂本龍一:观音听时|Ryuichi Sakamoto: seeing sound, hearing time」が、3月5日より北京の私設美術館・木木美術館(M WOODS)の新館、木木芸術社区(M WOODS HUTONG)で開催される。

坂本龍一+高谷史郎 LIFE - fluid, invisible, inaudible... 2007
Photo by Ryuichi Maruo (YCAM) Courtesy of Yamaguchi Center for Arts and Media [YCAM]

 国際的に音楽とアートの分野を横断して活動しながら、近年では美術展や芸術祭への参加など音楽と映像を組み合わせたインスタレーションの作品発表の機会を増えている坂本。本展では、その過去30年間の主要な作品や、本展のために制作されたサイトスペシフィックなインスタレーションを紹介する。

 例えば、坂本と高谷とのコラボレーションにより音と映像を全身で感受するインスタレーション《LIFE - fluid, invisible, inaudible ...》や、真鍋とのコラボレーションによる、人間がふだん知覚できない「電磁波」をセンシングし可視・可聴化した《センシング・ストリームズ―不可視、不可聴》など、大規模なサウンドインスタレーションを展示することで、その多面的な活動に迫る。

「Alexander Calder:Modern from the Start」
(ニューヨーク近代美術館、3月7日〜8月7日)

 動く彫刻「モビール」の発明と制作で知られ、「色彩の魔術師」とも言われる彫刻家アレクサンダー・カルダー(1898〜1976)。3月7日よりニューヨーク近代美術館(MoMA)で行われる「Alexander Calder:Modern from the Start」展では、カルダーの制作をMoMAとの関係性という視点で紹介する。

アレクサンダー・カルダー Black Widow 1959
The Museum of Modern Art, New York. Mrs. Simon Guggenheim Fund.
(C) 2020 Calder Foundation, New York / Artists Rights Society (ARS), New York

 本展では、カルダーが1920年代に制作したワイヤー彫刻から、晩年の大規模な単色・多色の「モビール」作品まで、その作品の全貌を年表に沿って紹介。また、43年にMoMAで行われた回顧展に出品された作品を中心に、MoMAに収蔵された初めての作品《A Universe》(1934)や、絵画彫刻のレリーフ、紙の作品、電動式の作品、そして家族や友人のためにつくったジュエリーのセレクションも展示される。

 それらの作品に加え、本展ではMoMAのコレクションからの映像や記録写真、アーカイブ資料なども展示。MoMAの初代館長であるアルフレッド・H・バー・ジュニアや、キュレーターのジェームズ・ジョンソン・スウィーニーなどとの往復書簡を通じ、カルダーとMoMAとの親密関係を明らかにする。

「Yayoi Kusama:A Retrospective」
(マルティン・グロピウス・バウ、3月19日〜8月1日)

 ドイツで初めてとなる草間彌生の大規模な回顧展「Yayoi Kusama:A Retrospective」が、3月19日からベルリン・ポツダム広場の近くに位置する美術工芸博物館「マルティン・グロピウス・バウ」で行われる。

Infinity Mirror Room – Phalli’s Field 1965 (C) YAYOI KUSAMA, Courtesy of Ota Fine Arts, Victoria Miro

 本展は、70年以上にわたる草間の制作を概観し、とくにこれまで紹介される機会が少なかったヨーロッパやドイツでの活動に焦点を当てるもの。約3000平米におよぶ展示スペースでは、草間の代表作から直近の絵画作品、ミラールームの新作、そして本展のために制作されたインスタレーションなどが展示される。

 ソフトスカルプチャーやミラールームシリーズはもちろん、草間が1952年に故郷・長野県松本市の公民館で行われた最初の個展に出品した作品や、60年代にヨーロッパで行われた活動にも注目。その制作スタイルの発展やドイツ美術史に残したレガシーについて考察する。

「The Making of Rodin」
(テート・モダン、4月29日〜10月31日)

 20世紀の変わり目に活躍し、「近代彫刻の父」とも称されるオーギュスト・ロダン(1840〜1917)。その制作過程を解き明かす機会となるのが、4月29日からロンドンのテート・モダンで行われる大規模個展「The Making of Rodin」だ。

オーギュスト・ロダン Main droite de Pierre et Jacques de Wissant 1885–86 Musée Rodin

 ブロンズや大理石の彫刻でよく知られているロダンだが、そのもっとも優れた技術とされるのは、粘土や石膏のような柔軟な素材で動きや光、ボリュームを表現する方法だ。石膏の身体部位を断片化、集合、反復するような実験を繰り返すことで、彫刻における新たな可能性を探求した。

 本展では、ロダンの制作過程に着目し、その制作における石膏の役割を強調する。ロダンのアトリエの雰囲気を彷彿とさせる空間では、これまであまり知られていない作品を含め、200点以上の作品を紹介し、その制作に新たな視点を提供する。

「Elles font l'abstraction」
(ポンピドゥー・センター、5月5日〜8月23日)

 女性アーティストが抽象芸術への貢献に着目した展覧会「Elles font l'abstraction(彼女たちは抽象芸術をつくる)」が、5月5日からパリのポンピドゥー・センターで行われる。

ソニア・ドロネー Electric Prisms (Prismes électriques) 1914
Centre Pompidou Collection, Paris, Musée national d’Art moderne - Centre de création industrielle
Image (C) Centre Pompidou, MNAM-CCI/ Philippe Migeat/Dist. RMN-GP (C) Pracusa S.A.

 本展では、106人の女性アーティストが1860年代〜1980年代のあいだに制作した500点以上の抽象芸術作品を展示。ヒルマ・アフ・クリント、ジョアン・ミッチェル、ジュディ・シカゴ、ルイーズ・ブルジョワなどの主要アーティストだけでなく、ラテンアメリカや中東、アジア出身の女性アーティストによるダンス、装飾美術、写真、映画、パフォーマンスなど様々な媒体の抽象芸術作品を通じ、抽象芸術の本質や女性アーティストが抽象芸術史における役割を問い直す。

 なお本展は、2021年10月22日〜2022年2月27日にスペインのビルバオ・グッゲンハイム美術館にも巡回予定だ。