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長官メッセージに批判。文化庁は具体的な補償内容への言及を

文化庁は宮田亮平長官名義で声明を発表。しかし、その中身に対して否定的な意見が目立つ結果となった。

文=橋爪勇介(ウェブ版「美術手帖」編集長)

文化庁

 「明けない夜はありません! 今こそ私たちの文化の力を信じ、共に前に進みましょう」。

 これが、宮田亮平文化庁長官から発信されたメッセージの締めの言葉だ。新型コロナウイルスが発生した当初であれば、このメッセージでもまだ問題はなかったのかもしれない。しかし、いまやその影響は広範囲に及んでおり、美術館・博物館にいたっては1ヶ月の長期休館(これは今後も延びる可能性が高い)を余儀なくされ、演劇や音楽など幅広い分野のアーティストや関係者たちがイベント中止によって大きなダメージを受けている。

 そのような「文化芸術の危機」とも言える切迫した状況下において、長官のメッセージはあまりにも軽い。長官は「日本の文化芸術の灯を消してはなりません」と言う。では、そのために国は何をするべきなのか? 補償内容について何も触れられていないのだ。いまの状況を考えると、抽象的なメッセージは具体的な補償内容と同時に発表されるべきである。

 こうしたメッセージの「下手さ」は、海外と比較するとより顕著になる。

 例えば、ドイツ連邦政府のモニカ・グリュッタース文化大臣「私たちは誰も失望させない。連邦政府として、数十億ユーロの援助パッケージでこれらの約束を守る」という力強い言葉とともに、1兆円を超える文化支援を表明した。不安を抱えるアーティストにとって、これほど心強いことはないだろう。

 また、アーツ・カウンシル・イングランド(ACE)は、最高責任者であるダレン・ヘンリーがブログを通じて長文のコメントを出している。このなかで(物理的な距離を保ちながら)「創造性と文化を共有することでつながりを保ち、文化が生み出すコミュニティ(仮想的なものだけでなく、物理的なものも含めて)を通じて、私たちはこの時代をより強く生き抜くことができる」と語りかけつつ、具体的な支援策についても言及。すでにACEは1億6000ポンド(約212億円)の緊急資金を提供することを発表している。

 文化庁においては、メッセージのみならず具体的な補償内容について早急に発表し、アーティストを中心とする人々を救済する措置を講じるべきだ。そうしない限り、夜は明けないままだろう。

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