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2018.8.3

夏休みは美術館へ!
ルドンから内藤礼まで、
注目の展覧会をピックアップ
【東日本編】

夏休みはアウトドアや芸術祭だけではなく、涼しい美術館へ展覧会を見に行くのも楽しみのひとつ。日本各地で開催されている展覧会のなかから、編集部が注目する展覧会を地域ごとに5つずつピックアップ!第2弾は東日本編。

「内藤礼展」展示風景より内藤礼《ひと》
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江戸から現代まで、視覚文化の冒険 「めがねと旅する美術展」 (青森県立美術館)

森村泰昌 批評とその愛人(4)7点組のうち1点 1989 静岡県立美術館

 青森県立美術館で開催されているのは、「めがね」「レンズ」をキーワードに、江戸時代から現代までの「見ること」への探求をたどる視覚文化史の展覧会だ。

 江戸時代後期に日本に渡来し、視覚的な革命を起こした西洋由来の遠近法やレンズを用いたからくり、列車や飛行機といった近代交通機関がもたらした視覚、そして戦後から現代に至る目覚ましいテクノロジーの発展とともに変貌してきた視覚表現の軌跡を追う本展。

 豊富な資料をはじめ、森村泰昌や山口晃の作品も展示されており、様々な角度から「視覚」にふれることのできる展覧会だ。

丨めがねと旅する美術展  —世界をとらえる、秘密をのぞく、次元を越える、だまされてみる?あるいはレンズと鏡、そして技術革新と新視覚。

会期:2018年7月20日〜9月2日
会場:青森県立美術館 
住所:青森市安田字近野185 
電話番号:017-783-3000 
開館時間:9:00~18:00 ※入館は閉館の30分前まで 
料金:一般 1500円 / 高校・大学生 1000円 / 小・中学生無料

 

村上春樹の装丁や絵本で知られるイラストレーター、待望の個展 「安西水丸展」 (福島県立美術館)

安西水丸 『レストランの読書』 © Kishida Masumi

 明快な色合い、大胆なモチーフの配置、温かな静けさが漂う、最小限の要素で構成された画面。村上春樹の装丁や、親子二世代で愛され続けている絵本『がたん ごとん がたん ごとん』などで知られるイラストレーター・安西水丸の個展が福島県立美術館で開催されている。

 原画と資料あわせて700点以上もの豊富な展示品で、幼少期から晩年に至るまでの足跡を紹介する本展。また、嵐山光三郎、村上春樹、和田誠との仕事も紹介し、交流のなかでうまれた作品の魅力に迫る。

 自由で洒脱、そしてユーモアも忘れない水丸ワールドを堪能することができる。 

丨イラストレーター 安西水丸

会期:2018年7月7日〜9月2日
会場:福島県立美術館
住所:福島市森合字西養山1番地
電話番号:024-531-5511
開館時間:9:30~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月
料金:一般・大学生 1000円 / 高校生 600円 / 小・中学生 400円

 

自然光のみが作品を照らす 「内藤 礼—明るい地上には あなたの姿が見える」 (水戸芸術館現代美術ギャラリー)

「内藤礼展」展示風景より細長い「生の外」

 北関東エリアでぜひチェックしたいのが、水戸芸術館現代美術ギャラリーで開催されている「内藤礼展」だ。本展は美術館の展覧会としては例外的にライティングを行わず、自然光のみで作品を見られるように展示されている。

 あたたかな光から、暗闇からじんわりと広がる光のグラデーションなど、様々な光のなかで内藤がつくり出す作品世界に入り込むことができる。

 内藤が制作の根源のひとつとしてきた「光」のアプローチをじっくりと堪能したい、過去最大規模の個展だ。

丨内藤 礼—明るい地上には あなたの姿が見える

会期:2018年7月28日~10月8日
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー
住所:茨城県水戸市五軒町 1-6-8
電話番号:029-227-8111
開館時間:9:30~18:00(7月28日~8月31日)、9:30~17:00(9月1日~10月8日)
休館日:月 ※ただし9月17日、9月24日(月・祝)は開館、9月18日、9月25日は休館
料金:一般 900円 / 高校生以下無料 ※学生および65~69歳の方は、毎月第一金曜日(8月3日、9月7日、10月5日)100円

 

ルドンと現代の作家たちの饗宴 「ルドン ひらかれた夢 幻想の世紀末から現代へ」 (ポーラ美術館)

オディロン・ルドン III.不恰好なポリープは薄笑いを浮かべた醜い一つ目巨人のように岸辺を漂っていた 『起源』 1883 リトグラフ、紙 岐阜県美術館蔵(前期展示)

 箱根・ポーラ美術館では、根強い人気を誇るオディロン・ルドンの展覧会が開催されている。

 本展ではルドンの作品を代表する不気味な怪物たちを描いた版画作品や、幻想的な淡い色合いの油彩画をはじめ、ルドンと通じ合う幻想的なテーマを表現する現代の作家たちの作品も展示。参加作家はイケムラレイコ、柄澤齊(からさわ・ひとし)、鴻池朋子らだ。ほかにも、水木しげるの作品や、岩明均『寄生獣』、押見修造『悪の華』など、ルドンの「目玉」を連想させる表現を展開するマンガ作品も比較するなど、幅広い作品が展示される。

 これまでとは違う角度からルドンの幻想的な芸術世界を楽しめる。

丨ルドン ひらかれた夢 幻想の世紀末から現代へ

会期:2018年7月22日〜12月2日
会場:ポーラ美術館
住所:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
電話番号:0460-84-2111
開館時間:9:00~17:00
料金:一般 1800円 / 大高生 1300円 / 小中学生 700円
休館日:会期中無休

 

独自の方法で描き出される無数の金魚 「金魚絵師 深堀隆介展 平成しんちう屋」 (平塚市美術館)

深堀隆介 制作風景

 平塚市美術館では、夏らしい涼やかな展覧会を楽しむことができる。開催されているのは、リアルな金魚の作品で知られる深堀隆介の個展だ。

 器の中に樹脂を流し込み、その表面にアクリル絵具で金魚を少しずつ部分的に描き、さらにその上から樹脂を重ねるという独特の手法を駆使する深堀。この作業を繰り返すことにより、絵が重なり合い、まるで生きているかのような立体感を持つ金魚が表現されるという。

 たくさんの金魚たちによる鮮やかかつどこか妖しげな世界観を楽しみたい。

丨金魚絵師 深堀隆介展 平成しんちう屋

会期:2018年7月7日〜9月2日
会場:平塚市美術館
住所:神奈川県平塚市西八幡1-3-3
電話番号:0463-35-2111
開館時間:9:30〜17:00(8月4日〜19日 〜18:00) ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月
料金:一般 900円 / 高大生 500円 ※中学生以下、毎週土曜日の高校生は無料