水玉の女王、出生地で個展開催。 「草間彌生 ALL ABOUT MY LOVE 私の愛のすべて」 (松本市美術館)
昨年の東京・国立新美術館での大規模個展や、完全予約制美術館の開館も記憶に新しい草間彌生の個展が、作家の生誕の地である松本市美術館で開催中だ。子供の頃から現代までの作品を展示しその半生をたどる充実の内容。
展示内容は、貴重な初期作品から渡米中に発表され、高く評価されるきっかけとなった無限の網シリーズのほか、帰国後に制作したコラージュや映像、近作のインスタレーションなどが展示され、草間の世界を堪能できる。なかでも注目したいのが、草間が2009年から手がけており、制作枚数が550枚を超えたという最新シリーズ「わが永遠の魂」だ。今回展示されるうち約70点のうち約半数が日本初公開作品で、なかには世界初公開となる作品も多数含まれる。
なお、同館では入り口に草間の作品を常設しているほか、無料観覧スペースにも水玉模様や南瓜のオブジェなどで彩られている。世界中で絶大な人気を集める「水玉の女王」の出生地で、その世界観を楽しみたい。
|草間彌生 ALL ABOUT MY LOVE 私の愛のすべて
会期:2018年3月3日〜7月22日
会場:松本市美術館
住所:長野県松本市中央4-2-22
電話番号:0263-39-7400
開館時間:9:00〜17:00(土〜19:00) ※入場はいずれも閉館の30分前まで
休館日:月(ただし、4月30日、5月7日、7月16日は開館)
料金:一般 1200円 / 大学・高校生 800円 / 中学生以下無料
人気の番組を全身で楽しむ。 「富山県美術館開館記念展 Part 3 デザインあ展 in TOYAMA」 (富山県美術館)
2017年、前身である富山県立近代美術館から移転新築してオープンし、その展覧会内容や、子供が全身で楽しめる屋上庭園など様々な面で注目を集めている富山県美術館。ここではNHK Eテレの人気教育番組「デザインあ」の展覧会を楽しむことができる。
身のまわりに意識を向けて問題を探り、よりよい状況を生みだす一連の思考力と感性を「デザインマインド」ととらえ、多彩な映像表現で子供たちに伝えてきた同番組。このコンセプトを発展させる展覧会が13年に東京で開催され大好評を収めた。本展は展示作品を一新し、さらに内容を発展させた展覧会だ。
本展のディレクターは、同番組で総合指導を行うグラフィックデザイナーの佐藤卓、映像監修を行うインターフェースデザイナーの中村勇吾、音楽を担当するミュージシャンの小山田圭吾の3名。大人と子供が一緒になり、思考しながらデザインの楽しさと面白さを体験できる展覧会だ。
|富山県美術館開館記念展 Part 3 デザインあ展 in TOYAMA
会期:2018年 3月21日〜5月20日
会場:富山県美術館2階展示室2、3、4
住所:富山県富山市木場町3-20
電話番号:076-431-2711
開館時間:9:30〜18:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:水(ただし5月2日、9日は臨時開館)
料金:一般 1300円 / 大学生 950円 / 高校生以下無料
インドネシア注目のアーティスト、 日本の美術館で初個展。 「アイ・チョー・クリスティン 霊性と寓意」 (金沢21世紀美術館)
日本屈指の人気の美術館である金沢21世紀美術館では、レアンドロ・エルリッヒの《スイミング・プール》などおなじみの常設作品はもちろん、インドネシアでもっとも著名な現代アーティストのひとりであるアイ・チョー・クリスティンの、日本初となる美術館での個展に注目したい。
1973年生まれのアイ・チョー・クリスティンは、インドネシアをはじめとする東南アジアで個展を開催してきたほか、欧米やアジア圏の国際展にも多数出品するなど、精力的に活動を続けている作家だ。
本展では、アイ・チョーの約20年にわたる多面的な創作活動を紹介するというもの。初期のドライポイントやドローイングから、重層的な構造を特徴とする「レイヤー絵画」とよばれる油彩画、ソフトスカルプチャーや大規模なインスタレーション、さらに本展のために制作された新作の大型絵画など約50点の作品が展示されている。
近年は飛び散るような色彩による抽象的なイメージや余白を通して、万物と人間の関係性を探求しているという注目の作家の哲学にふれられる機会だ。
|アイ・チョー・クリスティン 霊性と寓意
会期:2018年4月28日〜8月19日
会場:金沢21世紀美術館
住所:石川県金沢市広坂1-2-1
電話番号:076-220-2800
開館時間:10:00〜18:00(金土〜20:00)
休館日:月(4月30日、7月16日、8月13日は開館)、7月17日(火)
料金:一般 1000円 / 大学生 800円 / 小中高生 400円 / 65歳以上 800円
現代の作家たちによる、美術の旅。 「開館40周年記念展 トラベラー:まだ見ぬ地を踏むために」 (国立国際美術館)
関西を代表する美術館である、大阪・中之島の国立国際美術館が開館40周年を迎えた。それを記念した同館の「トラベラー:まだ見ぬ地を踏むために」は西日本エリアで見逃せない展覧会だ。
本展は二部構成となっており、45組の作家の作品が展示されている。第一部では積み重ねられた時間や歴史、記憶から社会の姿を浮かび上がらせるという内容、第二部ではパフォーマンスなどの時間の経過を伴う表現様式に注目し、美術館の未来の可能性を探るという内容だ。展示室だけでなく、地下1階エレベーター前の廊下など、美術館全体を使ってひとつの展覧会を作り上げている。
参加作家はマリーナ・アブラモヴィッチ、ヴィト・アコンチ、ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラー、小泉明郎、ポール・マッカーシー、森村泰昌、大竹伸朗ら。国内外の錚々たる顔ぶれが並ぶ。
そのなかでも注目したいのは、第4回ドクメンタ(1968)に出品されたロバート・ラウシェンバーグによる《至点》だ。大規模な修復を経て展示されている本作品を体験するためには整理券が必要なので、詳細はウェブサイトをチェックしてほしい。
|開館40周年記念展 トラベラー:まだ見ぬ地を踏むために
会期:2018年1月21日〜5月6日
会場:国立国際美術館
住所:大阪市北区中之島 4-2-55
電話番号:06-6447-4680
開館時間:10:00〜17:00(金土〜20:00)※入場は閉館の30分前まで
料金:一般 1200円 / 大学生 800円
休館日:閉幕日(5月6日)までは休まず開館
境内の自然と、作品である「庭」の融合。 太宰府天満宮アートプログラムvol.10 ピエール・ユイグ「ソトタマシイ」関連展示 (太宰府天満宮)
九州エリアでは、美術館ではなく太宰府天満宮で開催中のアートプログラムに注目したい。
「文化の神様」である菅原道真を祀る太宰府天満宮が、2006年より実施している「太宰府天満宮アートプログラム」。10回目となる今回は、フランス人アーティスト、ピエール・ユイグが作品を発表している。
今回のプログラムで、ユイグは太宰府天満宮の境内に新作の「庭」を発表。「神社の庭」である境内の千百余年にわたる歴史から構想したという本作は、「ドクメンタ13」(2012)の「Untilled 未耕作地」プロジェクトでも取り組んだ、自然と人為の関係性への考察を背景とした作品だ。
ユイグによる「庭」は、恒久的に展示される予定で、5月6日までは土曜と日曜の11:00〜15:00に公開されている(天候等の都合により中止の場合あり)。なお、5月7日以降の公開の詳細は決定次第Facebookページにて発表される。
また、宝物殿企画展示室では2018年5月6日まで、ユイグによる本作のプラン、ドローイング、スケッチや、天満宮境内の変遷を示す史料が紹介されるので、GW期間中に合わせてチェックしたい。
|太宰府天満宮アートプログラムvol.10 ピエール・ユイグ「ソトタマシイ」関連展示
会期:2017年11月26日〜2018年5月6日
会場:太宰府天満宮 宝物殿 企画展示室
住所:福岡県太宰府市宰府4-7-1
電話番号:092-922-8551
開館時間:9:00〜16:30 ※入館は閉館の30分前まで
料金:一般 400円 / 大学・高校生 200円 / 中学・小学生 100円
休館日:月(祝日の場合は開館)
※庭の公開は、土日11:00〜15:00(季節によって変動)。
作品の性質上、雨天等都合により公開中止の場合あり。当日の予定は、特設Facebookページ、または太宰府天満宮文化研究所まで電話(092-922-8551)にて要確認。