「文化の神様」である菅原道真公を祀る太宰府天満宮が、2006年より実施している「太宰府天満宮アートプログラム」。人々が行き交い集う場としての「開放性」と、1100年以上昔から変わらない天神信仰の場としての「固有性」という2つのキーワードをテーマに掲げ、第一線で活躍するアーティストが太宰府での取材や滞在を経て制作した作品を境内で公開している。
10回目となる今回は、フランス人アーティスト、ピエール・ユイグが作品を発表する。パリとニューヨークを拠点に、映画の構造を利用してフィクションと現実の関係を探る映像作品や、美術館、展覧会などに潜む制度に注目したプロジェクトを発表しているユイグ。日本では、2016年「岡山芸術交流」に出品し、19年に開催される次回展ではアーティスティックディレクターを務めることも決まっている。
今回ユイグは、太宰府天満宮の境内に新作の「庭」を制作。「神社の庭」としての境内の千百余年にわたる変遷から構想したという本作は、「ドクメンタ13」(2012年)の「Untilled 未耕作地」プロジェクトでも取り組んだ、自然と人為の関係性への考察を背景とした作品となっている。
ユイグによる「庭」は、境内に恒久展示され、土曜と日曜の11:00〜15:00に公開される(天候等の都合により中止の場合あり)。また、宝物殿企画展示室では、2018年5月6日まで、ユイグによる本作のプラン、ドローイング、スケッチや、天満宮境内の変遷を示す史料が紹介される。