EXHIBITIONS

太宰府天満宮アートプログラム vol.11

田島美加「Appear」

田島美加 Art d'Ameublement(Karena Maihiva) 2021
Photo by Charles Benton ©︎ Mika Tajima Courtesy of TARO NASU

田島美加 Art d'Ameublement(Karena Maihiva) 2021
Photo by Charles Benton ©︎ Mika Tajima Courtesy of TARO NASU

田島美加 Anima 9 2021
Photo by Charles Benton ©︎ Mika Tajima Courtesy of TARO NASU

田島美加 Negative Entropy(Dazaifu Tenmangu, Morning Prayer and Offerings, Gray, Quad) 2020
Photo by Charles Benton ©︎ Mika Tajima Courtesy of TARO NASU

 ニューヨーク在住のアーティスト・田島美加(ミカ・タジマ)の個展「Appear」が太宰府天満宮 宝物殿および境内で行われる。「開放性」と「固有性」を主要テーマにしつつ、第一線で活躍中のアーティストを迎える太宰府天満宮アートプログラムの11回目。

 田島は1975年ロサンゼルス生まれ。現在はニューヨークで制作活動し、彫刻、建築、音楽、パフォーマンスなど多様な要素を組み合わせた作品で知られている。日本では2013年に森美術館(東京)の「六本木クロッシング2013:アウト・オブ・ダウト」展に参加、近年は「岡山芸術交流2019:もし蛇が」に出展した。今年はTARO NASU(東京)での個展「Spectral」(5月21日〜6月18日)も予定している。

 田島が太宰府天満宮での個展に冠した「Appear」とは、目に見えるようになること、知覚されること、または、ある証拠によって明らかにされること。日本人の両親のもと、アメリカで生まれ育った作家は、グローバルな視座から、これまで西洋と東洋の交錯、物質・エネルギー・人間の精神の遷移、変換などをテーマにしてきた。

 2019年に太宰府を訪れた田島は、初めて知る神社と神道、そして、1100余年のあいだ、循環しながら歴史をつないできた太宰府天満宮への考察を通して、10点の新作を制作。今回、境内に常設される立体作品《Echo》には蓄光性の顔料が使われ、太陽光とブラックライトによってチャージされたエネルギーが循環するしくみにより、光に包まれた瞑想の彫刻が出現する。また吹きガラスによる彫刻の新シリーズ「Anima」には、太宰府天満宮ならではの素材と技術が用いられ、見どころのひとつとなる。

 いっぽう宝物殿では、御本殿での祝詞を収録した音源をプログラミングによってパターン化し、ジャガード織機で織る「Negative Entropy」をはじめするシリーズ作品を展示。境内を歩き、話し、長い時間の思索を経て田島がたどり着いた、自然と人の精神のエネルギーの可視化を試みる作品の数々との対峙を楽しみたい。