EXHIBITIONS

松山智一「Boom Bye Bye Pain」

松山智一 Spiracles No Surprises 2021

松山智一 River To The Bank 2020

松山智一 Blind Critical Mass 2021

新設スペースのファサードイメージ

 KOTARO NUKAGAは、2拠点目となる新スペースKOTARO NUKAGA(六本木)を2021年5月にオープン。こけら落としは、松山智一の個展「Boom Bye Bye Pain」を開催する。

 松山は1976年岐阜県生まれ。上智大学を卒業後、2002年に渡米。ニューヨークのプラットインスティテュートを首席で卒業し、現在もブルックリンを拠点に活動。ペインティングを中心に彫刻やインスタレーションも手がけ、20年の上海での大規模個展などアメリカ国内外で個展多数。日本では、JR新宿駅東口広場のアートスペースを監修し、7メートルのパブリック・アートを完成せた。今年2月には、NHK『日曜美術館』で特集が組まれ、グローバルな活動と重層的な制作が高く評価される。

 本展の「Boom Bye Bye Pain」というタイトルは、同性愛者への差別とも取れる歌詞で物議を醸したBuju Bantonのポップレゲエソング「Boom Bye Bye」と、「Pain」という2曲のタイトルを松山が融合したもので、自身も人種差別を受け、痛みを感じながらもアメリカ社会のなかでアーティストとして生きてきた意味合いを込めている。

 本展の中心となる「Spiracles No Surprises」は、馬に乗る人物が旗を持ち、もうひとりが行く先を示す、松山の代表的なモチーフである騎馬像のシリーズ。歴史的に、強者や支配者の象徴として描かれてきた騎馬像を、鮮やかな色彩と古今東西の装飾柄や抽象的な表現で描くことにより、松山は時代を超えて繰り返し描かれてきたモチーフの権威性を解体し、そこに新たな意味を与えている。

 ニューヨークという多様な文化的伝統が存在する民族混合地域で自身のアイデンティティの問題とつねに向き合う松山は、マイノリティだからこそ見える視点と「私たち」という主語で鮮やかに社会を切り取る。本展は、「どのような環境に置かれても生き残っていかなければならない、人間の根源的な営みと向き合いながら制作に取り組んできた」と語る松山にとって、創作すること、生きることの意味を改めて問いかける展覧会になる。

「行き交う人々に、日常体験のひとつとして深度のある現代アートに触れる機会を提供したい」との思いから、国内外から様々な目的や文化を持つ人々が交差する六本木での開廊に踏み切ったKOTARO NUKAGA。今後は、天王洲と六本木の両スペースの特徴を生かした、相関性を持った展示を行っていくという。