EXHIBITIONS

Artist VoiceⅠ:河口龍夫 無呼吸

 慶應義塾大学アート・スペースが、新しい展覧会シリーズ「Artist Voice」をスタートさせる。

「Artist Voice」は、慶應義塾大学アート・スペースの小さな展示室1室という施設の特性を生かして、作家の呟きや生の声を感じ取れるようなインティミットな展示を目指すもの。第1回では、美術家・河口龍夫による展示「Artist VoiceⅠ:河口龍夫 無呼吸」を開催する。

 河口は1940年兵庫県生まれ。65年に「グループ〈位〉」を結成し注目を集めると、70年開催の「第10回日本国際美術展 人間と物質」(東京ビエンナーレ)などに出品。89年には「大地の魔術師たち」(ポンピドゥー・センター、パリ)に参加。60年代の作品発表の初期から「関係」をテーマとし、たゆみない制作活動を展開し続けている。その傍ら、筑波大学をはじめ、数々の大学で教鞭を執り、つねに教育活動にも携わってきた。

「見えるもの」「見えないもの」を問い、鉄・銅・鉛などの金属、化石や貝、植物の種子などを用いながら、モノの本質に向き合ってきた河口。慶應義塾大学アート・センターでは、2015年に河口を迎えたトーク・セッションを実施し、その際のポスターを契機として「『陸と海』からの時相」シリーズが誕生した。

 本展では、2020年から、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける状況を正面から受け止め、作品制作を実践してきた河口の作品を中心に展示。コロナ下で開催された昨年の展覧会「SHOW-CASE project No.4 河口龍夫 鰓呼吸する視線」の関連作品も含めながら、展覧会を通して現在を考え、そして「展覧会」そのものについても問いかける。