EXHIBITIONS

内藤礼

内藤礼 精霊 2020 金沢21世紀美術館での展示風景 写真=畠山直哉 Courtesy of Taka Ishii Gallery

 内藤礼の個展がタカ・イシイギャラリーで開催。今年6〜8月に開催された個展「うつしあう創造」(金沢21世紀美術館)で初めて「創造」と向き合った作家が、その先に見出す生の瞬間とヴィジョンを紹介する。

 内藤は1961年広島県生まれ。東京を拠点に活動。85年に武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン学科を卒業し、91年に佐賀町エキジビット・スペース(東京・江東区)で発表した「地上にひとつの場所を」で注目を集める。97年には第47回ベネチア・ビエンナーレ国際美術展の日本館にて同作品を展示。「地上に存在することは、それ自体、祝福であるのか」を一貫したテーマに制作を続けている。

 タカ・イシイギャラリーでの初個展となる本展は、内藤の新作絵画と立体作品を中心に展示する。

 本展で発表される《color beginning》は、紙に赤の色鉛筆で描いたシリーズ「namenlos/Licht」(1993~)の流れを汲んで2005年から始まり、色彩の新たな発見から始まった絵画シリーズ「無題」(2006~)とのつながりをもつ作品。生気の顕われである色彩は、絵画が受け止める光によって、奥行きを超えて自由にキャンバスそのものの手前と奥を行き来する。

 空から空間に流れ込む陽光を映しながら、その変容をひたすら見つめ、生のあらわれをじっと待つ作品群は、訪れる人たちとともに、六本木という都市の隙間で生滅の連なりをあらわす情景となる。

 世界、存在、生、空間、時間、太陽、空との対話、つくることの意味、人間の初動を見つめ続ける作家によってどのような光景があらわれてくるのか、会場を訪れて直に体感してほしい。