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EXHIBITIONS

京都市立芸術大学創立140周年記念/開館10周年記念展

京都市立芸術大学芸術資料館収蔵品活用展/横内賢太郎「誰もに何かが(Something for Everyone)」

横内賢太郎 C. pagisore - land 2019

横内賢太郎 Signs(aike) 2010

横内賢太郎 cultural grafting ‒ study rh 2016

横内賢太郎 「Art Fair Tokyo 2016」ポーラ美術振興財団ブースでの個展⾵景

入江波光 春雨 明治38年

渡辺與平 狐 明治39年

村上華岳 羆 明治40年

 京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA(アクア)では、京都市立芸術大学創立140周年記念ならびに開館10周年記念展を開催。コロナウイルスの世界的流行による非常事態時に行われる本企画では、改めて異文化との接触やコミュニケーション、またそれらがもたらすものについて、同大学の芸術資料館収蔵品と、美術家・横内賢太郎の現在進行形の実践と思考のなかに見出すことを試みる。

 京都市立芸術大学の芸術資料館には、明治期から現在まで歴代の卒業・修了作品が収蔵されている。最初期の収蔵品では、1903年の京都市紀念動物園(現・京都市動物園)の開園以後、動物が積極的に描かれるようになり、欧州視察で知見を得た竹内栖鳳(1864〜1942)をはじめとする当時の教員から学んだ西洋画表現からの影響などが見られ、収蔵されている作品を時代ごとにたどると、表現の傾向が移り変わっていくことに気づかされる。

 本企画では、これらの「出会い」が作家たちにもたらしたものとその受容のあり方を、入江波光(1887〜1948)、渡辺与平(1889〜1912)、村上華岳(1888〜1939)の3名の画家の卒業作品から考察し、続いて2階展示室にて、横内賢太郎による展示を展開する。

 1979年千葉県で生まれた横内は、2007年に同大学を修了して以後、数年間日本で作家活動を続けたのち、14〜19年までインドネシアに在住。横内は「文化的接ぎ木」をキーワードに、様々な文化的・歴史的背景を持つイメージをメディウムによって画面上に転写し、下地処理をしていないキャンバスに図像を画面上で再接続する絵画作品を制作してきた。その姿には、本企画で取り上げる明治期の作家たちが、模写による学習から始めて、自らの表現を模索していった様が重なるようでもある。

 2階展示室では、横内が各地で制作した作品に加えて、作家のアートスペース「Artist Support Project」での活動のアーカイヴも展示。横内がアーティストとして、異文化に属する文物のイメージの接続、人々の交流についてどのように思考を巡らせているのかを包括的に提示する。

 人々が移動や対面でのコミュニケーションの制限を余儀なくされるいま、本企画が「これから」のための蓄えとなる「出会い」をもたらすことを願う。