佐藤雅晴「Rabbit」

　国内外で精力的に活動し、2019年3月に惜しまれながら早逝したアーティスト・
佐藤雅晴の回顧展が開催される。

　佐藤は1973年大分県生まれ。99年東京芸術大学大学院修士課程を修了後、2000年にドイツに渡り、10年間デュッセルドルフを拠点に作品を発表。帰国後は国内外で数多くの展覧会に参加し、今後の活躍を期待されるなかで、長年闘病を続けていた癌のため、45歳という若さで逝去した。

　日常風景を撮影した実写をパソコンソフトのペンツールを用いてトレースして平面や映像作品を制作し、独自の世界観を確立した佐藤。その作品は、実写とのわずかな差異から違和感を生じさせ、現実と虚構を行き来するような感覚を見る者に与える。

　本展は、佐藤の制作活動を振り返る機会として、直近10年間に制作された平面作品2点と映像作品5点を展示。佐藤の目線で切り取られた世界は、一見何気ない風景のようでありながら、その現実と虚構の狭間に入り込んだ私たちに新たな気づきをもたらしてくれるだろう。