EXHIBITIONS

小沢剛「Jアラート」

2019.11.08 - 12.21

小沢剛 す下降にンバンレパ兵神神兵パレンバンに降下す 2017 Photo by Shizune Shiigi

小沢剛 ポスターの写真 2013/ 2019 Photo by Shizune Shiigi, Cooperation: Arts Chiyoda 3331

 牛乳箱を用いてアートを展示する「なすび画廊」、武器を模した野菜を持つ女性のポートレイト作品「ベジタブル・ウェポン」などで知られる美術家・小沢剛の個展が開催される。

 小沢は1965年東京生まれ、91年東京藝術大学大学院美術研究科壁画専攻修了。近年の個展に「小沢剛 不完全-パラレルな美術史」(千葉市美術館、2018)など。また、中国人アーティストのチェン・シャオション、韓国人アーティストのギムホンソックとアーティスト集団「西京人」を組み、様々な境界を越えたコミュニケーションをテーマに活動している。

 本展で展示される「す下降にンバンレパ兵神神兵パレンバンに降下す」(2017)は、42年にオランダに統治されていた現・インドネシアのパレンバン油田を、日本帝国陸軍が占領する場面を記録した鶴田吾郎(1890-1969)の戦争画《神兵パレンバンに降下す》(1942)から着想を得たシリーズ。小沢は日本軍の勇姿を讃えるほとんどの戦争画が、銃口を向けている先に敵を描いていないことに気づき、同作品を模写することで他者に向けた銃口がやがて返ってくることを示唆した。

 もうひとつの出品作「ポスターの写真」シリーズは、高松次郎の唯一の写真シリーズ「写真の写真」に強く心を引かれていたという小沢がその手法をなぞったもの。写真を撮影する代わりに、ある児童画のコンクールで入賞したポスターを模写し、高松と同じくそのポスターに手を加えて小学校の様々な場所に配置した後、写真家の椎木静寧が撮影を行った。小沢が模写したポスターは、文科省の主催で毎年行われていた原発を啓蒙するためのポスターコンクールの応募作品で、子供たちの美術教育の使われ方の負の側面をあぶり出し、かたちに留めておくことを試みている。