EXHIBITIONS

岡田裕子展「ダブル・フューチャー」

岡田裕子 エンゲージド・ボディ:脳血管のティアラ 2019 ナイロン(作家自身の内臓をスキャンし3D出力)に金箔 撮影=大島健一郎 写真提供=東京都写真美術館 © OKADA Hiroko Courtesy Mizuma Art Gallery

岡田裕子 エンゲージド・ボディ 2019 ビデオ、3Dスキャン身体型ジュエリー、3Dスキャン身体型ミラーボール 「第11回恵比寿映像祭 トランスポジション 変わる術」(東京都写真美術館、2019)での展示風景 撮影=大島健一郎 写真提供=東京都写真美術館 © OKADA Hiroko Courtesy Mizuma Art Gallery

岡田裕子 未来図 #2 2003 ラムダプリント 140.4 × 90cm  © OKADA Hiroko Courtesy Mizuma Art Gallery

岡田裕子 俺の産んだ子 2002 / 2019 2チャンネル・ビデオ 17分48秒 © OKADA Hiroko Courtesy Mizuma Art Gallery

 今年の恵比寿映像祭で発表した、再生医療が発展を遂げた架空の未来の物語《エンゲージド・ボディ》が好評を博したアーティストの岡田裕子。その後、アルスエレクトロニカセンターで1年間の常設展示が決定するなど、国内外で大きな注目を集めている。

《エンゲージド・ボディ》は、再生医療によってヒトの細胞株があらゆる身体の部分に分化し、他者へ提供可能になった未来の世界が舞台。ドナーとレシピエントのあいだでは、契りの証として再生した内臓をジュエリーに仕立てて贈るという文化が芽生え、互いに名乗り合うことが許されない代わりに、ジュエリーの受け渡しで身体の関係を確かめ合うという。

 本展は、同作品の着想時の貴重なドローイングや新作と、「男性が妊娠・出産する」架空の未来を描いた2002年制作の映像作品《俺の産んだ子》で構成。先端医療にまつわる2つのストーリーは、この17年間で大きく変化した技術の革新性を感じさせるいっぽう、いまだに変わらない、人間社会の様々な問題も浮き彫りにする。