EXHIBITIONS

中谷ミチコ その小さな宇宙に立つ人

中谷ミチコ 犬と女の子 2018 Photo by Hayato Wakabayashi

中谷ミチコ 舟を運ぶ 2018 Photo by Hayato Wakabayashi

中谷ミチコ 3人 2018 Photo by Hayato Wakabayashi

 国内外で活躍の場を広げる彫刻家・中谷ミチコの過去大規模となる個展が開催される。

 中谷は1981年東京都生まれ。2005年多摩美術大学美術学部彫刻学科卒業後、ドイツで7年間学び、帰国後は三重県を拠点に活動を行う。

 中谷が手がける平面的なレリーフ作品は、制作方法も独創的。まず粘土で半立体像をつくり、それを石膏で型取りしてから始められる。完成した石膏型(雌型[めがた]、凹んだかたちの型)に透明もしくは着色した樹脂を流し込み、表面を仕上げる。この工程を踏んで、凸(最初の粘土の像)から凹(途中の石膏型)、そして最後はフラットな表面へ、立体と平面の間を行き来しながら作品がかたちづくられる。

 次世代を担う美術家を発信する、柳原義達記念館の「Y² project」の第1弾として開催される本展。鴉や鳩をモチーフとした「道標」シリーズや女性立像《犬の唄》などで知られ、戦後日本の具象彫刻界を牽引した柳原義達の作品群と、これらに強く影響を受けたという中谷の立体作品やドローイングが交差する新たな試みとなる。