EXHIBITIONS

ティン・リン展

銀座メディカルビル1階
2019.06.17 - 06.29

ティン・リン Pon San Htai

ティン・リン Saw Theingi Thet

ティン・リン Thin Thin

ティン・リン Soe Aye Htet

 囚われた独房からアートを発信し続けたミャンマーのアーティスト、ティン・リンの日本初個展が開催される。

 ティン・リンは、ミャンマーにおける重要なパフォーマンス・アーティストのひとり。ヤンゴン大学法学部在学中の1988年に民主化運動に参加し、軍事政権が誕生するとインド・中国との国境へ逃れて地下を拠点とした。92年に大学に復帰し、95年に修了。その後、アーティストや俳優として活動するなか、98年に反政府活動の容疑で刑務所に収監され、拷問を受けた。

 96年からはその経験を血のような赤い絵具を上半身に塗るパフォーマンスで表現。また、囚人服の上に注射器などで描いた300点もの反政府的な絵画「囚人の自画像」や政治的な新聞を制作し続け、それらを枕の中やベッドの下、掘った穴などに隠して刑務所外に送るなど、7年のあいだ獄中でアーティスト活動を継続した。

 2004年出所後は、ロンドンへ移住。イギリスやタイなど各地で展覧会やパフォーマンスを行い、12年に民主化されたミャンマーへの帰国を果たした。この頃から、約5000人もいたという受刑者の中から、460人の立体手形と当時の体験談を集めた《手の展示》や、刑務所内の石鹸を彫刻化した《石鹸プロジェクト》(1999)の発展形も制作。多様な表現形態で、民主化の実現と自由な表現の難しさを不屈の精神で訴え続けている。

 本展では、ミャンマーの民族衣装「ロンジー」を端緒に、女性と男性の壁を取り払うことを試みる「ロンジー・プロジェクト」の最新作から、2007年に発表した「囚人シリーズ」、油彩作品や2メートルを超える大作まで約20点を展示。アートを通じて、現在の日本社会へ強いメッセージを投げかける。