EXHIBITIONS

中国文房具と煎茶 ―清風にふかれて

2019.03.02 - 05.06

文房諸道具 前漢~清時代

田能村直入 梅林山水図 嘉永7(1854)年

田能村竹田 梅渓閑居図 文政10(1827)年

池田桂仙 桐木地網代張器局 大正7(1918)年

鍍金魁星像 明時代 15世紀

 世の喧噪を煩い、自然の中で哲学や芸術について語らう生活を理想とする文人の書斎は「文房」とも言い換えられ、書斎という空間を清雅の境地へと昇華させた飾り道具は、「文房具」と総称された。その括りは、現代の「ステーショナリー」の範疇を大きく超えるもので、紙、墨、硯、筆などの筆記具はもちろん、青銅器や花瓶、数珠や瓢箪までにおよんだ。

 こうした中国文房具は文人趣味と結びつく煎茶会を介して日本に広められ、泉屋博古館所蔵の住友コレクションの核を形成した15代当主・住友春翠もまた、中国の文人趣味に憧れて文房具を数多く収集した。近代に入ると煎茶会には、中国の古銅器や明清書画などの展観席も併設され、文人への憧れはそのままに、芸術鑑賞のあり方が大きく変化。現在の「展覧会」のルーツとも言われ、多様な文房具が茶席を彩った。

 本展は、館所蔵の中国文房具や煎茶器を、春翠も楽しんだ明治の煎茶会のように展観席や煎茶席を設けて紹介する。