EXHIBITIONS

シルケ・オットー・ナップ

Silke Otto-Knapp "Moontrail (Trio A)" (2010) Watercolor and gouache on canvas, 140.5 x 160.5 cm
©Estate of Silke Otto-Knapp. Courtesy of Taka Ishii Gallery / Photo: Kenji Takahashi

 東京のタカ・イシイギャラリー 京橋で、シルケ・オットー・ナップによる個展が開催されている。会期は9月19日まで。

 オットー・ナップ(1970〜2022)はドイツ・オスナブリュック生まれ。ヒルデスハイム大学でカルチュラル・スタディーズを学び、ロンドン芸術大学チェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインで修士号を取得。テート・ブリテンやクンストフェライン・ミュンヘン、クンストハレ・ウィーン、アートギャラリー・オブ・オンタリオなどで個展を開催し、国際的な美術館やビエンナーレでも作品を発表してきた。

 水彩絵具やガッシュをキャンバスに塗り重ね、顔料を移動・除去しながら画面を構築する独自の技法を用いたオットー・ナップ。描くことと消去することを往還する制作過程を通して、透明性と不透明性、表面と奥行きが共存する絵画空間を生み出した。

 主題として繰り返し取り上げたのは、パフォーマンスと身体。バウハウスの舞踏家クサンティ・シャヴィンスキーや、イヴォンヌ・レイナー、トリシャ・ブラウンらの振付、演劇や映画の舞台表現を参照し、身体の姿勢や視線、ジェスチャーによる表現を絵画へと置き換えてきた。

 タカ・イシイギャラリーでは8年ぶり4度目、没後初となる本展では、2006年から19年までに制作された約8点のオットー・ナップによる作品を展示。大型作品《Moontrail (Trio A)》(2010)や、《Lilac Garden (2)》(2011)、後期の風景画《Rainbow》《Birds and waves》(ともに2019)を通して、人物と風景の双方に通底する、図と地が揺らぎ続ける絵画表現を紹介する。