EXHIBITIONS

長沢秀之「OVER PAINTING」

2026.02.21 - 03.28

「沖縄・1944 年・対馬丸」-2 2025 油彩、キャンバス 72.7 × 91.0 cm ©NAGASAWA Hideyuki

 GALLERY MoMo 両国で、長沢秀之による個展「OVER PAINTING」が開催されている。

 本展は、絵画というメディウムにおいての根源的な問いとして、見ること、記憶すること、時間を引き受けることを実践として再起動させる試みとなる。

 長沢秀之は1947年埼玉県生まれ。72年に武蔵野美術大学造形学部産業デザイン科を卒業。99年に同大学油絵学科教授。38年に撮影されたと記された一枚の無名の人物写真を起点に、像を描くことと消すことが不可分に絡み合う絵画シリーズを展開してきた。

 制作は、COVID-19のパンデミックと、絵画そのものの存立に対する疑義が重なるなかで一度中断された。2024年、長沢は未発表の過去作を再び取り出し、「上塗り(Over painting)」という行為を通して再制作を行った。上塗りは、既存の作品の上に新たな描画行為を重ねる手法であり、複数の時間を同一平面上に重ね合わせる試みとして提示される。

 今回の展示では、2017年以降に制作された習作や既発表作を基層とし、それらに新たな描画行為を重ねることで生まれた新作群を紹介。描く、消す、覆う、再び描くという反復的プロセスを通して、絵画の内部に蓄積された時間や履歴に着目する。

 さらに、1944年の対馬丸撃沈事件(*)を主題とした作品も展示。長沢の制作における「見ること」という主題を軸に、古写真や過去の絵画の上に線や色彩が重ねられることで、時間が重なり合う絵画のあり方を提示する。

*──太平洋戦争末期の1944年8月22日、沖縄から九州へ学童疎開する日本郵船の貨物船「対馬丸」が、トカラ列島悪石島沖でアメリカ軍潜水艦の魚雷攻撃を受け沈没し、784人の学童を含む1484人が犠牲となった事件。