上出惠悟「B-P-F」

　Yoshimi Artsで、上出惠悟による個展「B-P-F」が開催されている。

　上出惠悟は1981年石川県生まれ。2006年に東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業。磁器の成形や絵付を行う九谷焼窯元・上出長右衛門窯の六代目として窯のディレクションを担いながら、個人作家としても作品を発表している。

　本展は、上出による新作彫刻作品を展示している。上出はこれまで、九谷焼を出自とし、磁器という素材を通して多様な作品を発表してきた。Yoshimi Artsでは「幽谷」「游谷」「硯海の貝」などの個展を開催し、磁器の歴史や制作背景を踏まえた作品を提示している。

　その後の個展では、「熊」をモチーフとした作品や、「甘蕉」シリーズ、「磁彫」と題した磁器による彫刻作品を発表している。また、窯元の製品をモチーフとした「静物」シリーズや、様々な素材と向き合った展覧会「0years」を通じて、制作の幅を広げてきた。

　2018年以降は、磁器板に絵付を施した「瓷板画」を継続的に制作・発表しており、近年は油画作品にも本格的に取り組んでいる。25年には「GO FOR KOGEI 2025」に参加し、大作《卯辰山展望台》を発表した。

　今回の展示では、「磁彫」や「静物」に通じる彫刻的な思考を基盤とし、窯元の製品を重ね合わせ、釉薬を施して焼成することで一体化させた彫刻作品を展示する。