EXHIBITIONS

及川恵子、八太栄里「象徴としての自我像」

2025.11.19 - 12.06
 Ohshima Fine Artで、及川恵子と八太栄里の二人展「象徴としての自我像」が開催される。

 本展は、初登場の八太を迎えて構想されたものである。ふたりの作品に登場する人物が、それぞれの創作の鍵になると考えられ、展覧企画のプロセスにおいてタイトルの自画像に「自我」という言葉を適用している。

 及川の創作は、重厚で縦横無尽な色と筆跡、繊細な線などで表現されるものであり、場の持つ空気やそこに宿る生命の力、感じ取った刹那の記憶を描く。描かれる人物は、作家自身の当事者の観点でとらえた幻想としての自画像である。

 いっぽう、八太のアクリル絵具によるフラットな作品に登場する人物は、傍観者としての視点で描かれる。描かれる風景を観察する自分であると同時に、その場に存在する他者の気配を描いている。八太によれば「その土地に行き交う人々が残した『残留思念』の象徴」を表現したものである。

 使う絵具、描き方、観点は異なるが、それぞれの「自我」像が提示される。本展は、両者の創作を対照することで生まれる関係性に注目するものである。