EXHIBITIONS

中沢研・平川恒太《境界》

2025.03.08 - 05.18
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中沢研 Lines 2022 撮影:今井智巳

 カスヤの森現代美術館で、中沢研と平川恒太による展覧会「境界」が開催されている。

 中沢研の作品は、繊細な鉄のオブジェを自然な緊張感を保ちつつ、的確な距離感で配置し構成されるインスタレーションによって展示空間を創出。床から立ち上がるオブジェは、鑑賞者の立ち位置によってあらゆる姿を見せ、その場と呼応しながら時間を含めた独自の間をつくり出す。

 平川恒太は、平面作品を中心にコンセプチュアルな作品を展開してきた。その作品は時に、108個の時計の上に黒一色で福島第一原発の作業員を描いた作品や平面作品と音楽や映像をあわせた作品など、キャンバス上の表現に収まらない空間への意識が見てとれる。2021年に同館で開催された個展「平川恒太 "Talk to the silence"」では、「記憶のケイショウ」をテーマに絵画やアートでなければケイショウ(継承、形象、警鐘)できない記憶と忘却を表現した。

 中沢研は、多摩美術大学在学中の平川恒太の恩師であり、その指導を通し展示の際の空間への厳しさを学んだと平川は語っている。その後も作家として交流を深め、お互いの仕事についても良く知るところとされるが、二人展として展覧会を行うのは本展が初めての試みとなる。作品と空間を意識するなかで現れる様々な「境界」がテーマとなる本展では、作風が異なるふたりの作品がどのような空間をつくり出すのかが注目となる。