サム・ギリアム「The Flow of Color」

　Pace 東京で、サム・ギリアムによる個展「The Flow of Color」が開催されている。

　戦後アメリカ絵画のもっとも革新的なアーティストのひとりとされるギリアムは、1960年代半ばにワシントン D.C.のアートシーンから登場した人物で、カラースクールと呼ばれる潮流の精神を突き詰め、かつ覆す作品群を発表。ルネサンス絵画の色彩、線、動き、モダニズム美術におけるフォーマリズムの歴史から着想を得て、従来の絵画と彫刻の領域を超える先鋭的なヴィジョンを育み、のちにインスタレーションとして知られる新たな制作様式を志向。技法や動作、物質性、色彩、空間に関するたゆまぬ実験を通して、自らの実践を繰り返し刷新し、生涯を通して抽象の表現力、美学、哲学的な可能性の探究に努めた。

　本展は、Pace ソウルならびにPace 東京での2部構成として企画され、今年初めにソウルでオープンした前半に続く展覧会だ。ギリアムが2018年から2022年にかけての晩年の数年間に制作した一連の水彩画と《ドレープ》ペインティングを展示。

　また会期中は、ワシントン・カラー・スクールの重要な画家であるケネス・ノーランドの展覧会も同時開催。