EXHIBITIONS

KINJO、広瀬陽「VOID」

2025.02.14 - 03.01

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 光灯で、KINJO、広瀬陽による展覧会「VOID」が開催されている。

 KINJOは東京都生まれ。荒川区在住。沖縄にルーツを持ち、日本と関わりの深いアメリカ文化を題材にした絵画や立体、パフォーマンスを発表してきた。「暗闇に光る目」「シリアルパッケージ」「蛇」などの記号を、"描いて"は"消す"を繰り返す作業のなかでアウトラインが曖昧となり、それはKINJOにとっての自画像のようなものであり、自身のルーツを掘り下げていく行為でもあるという。

 広瀬陽は1990年東京都生まれ。多摩美術大学美術学部を卒業後、アートユニット・明和電機のアシスタントを経て独立。2019年より器作家として国内外で個展を開催。器を主題としながら平面作品やインスタレーションなど様々な表現を用いる。2022年、広瀬は制作拠点を東京から静岡県伊東市に移し、しばらく家から出なくなる生活を送った。2024年、フィールドワークを伴う「ghost」シリーズの制作を開始し、家から出るようになる。

 東京出身の両作家は、高校時代に先輩後輩として知りあい、卒業後は他のメンバーも含めたアートユニットとしてともに活動した時期もあったが、現在はそれぞれの表現を追求し、KINJOは主に現代美術の分野で、広瀬は工芸の分野で活躍。

 本展の企画は、広瀬が器作家として活動するいっぽうで続けてきた、様々な創作が発端となっている。今回、広瀬が発表するのは新作シリーズ「ghost」。本作は、広瀬が路上観察のなかで目に留まったオブジェクトを白い布で覆い隠し撮影した写真を転写した版画と、その軌跡を記録したZINEを今回の表現媒体としている。

 KINJOは、広瀬の「ghost」の制作からいくつかのキーワード、"路上""隠す""存在"など自身の作品にも共通するテーマを拾い出し、ペインティングを主体とした新たな作品へと拡張。

 本展では、両作家が互いの作品を含む日々のやりとりや生活からインスピレーションを受け、それに呼応するかたちで制作した新作を発表している。