米谷健＋ジュリア「CRYSTAL PALACE」

　art cruise galleryで、米谷健＋ジュリアによる展覧会「CRYSTAL PALACE」が開催される。

　米谷健は元金融ブローカー、ジュリアは元大学の歴史学者という異色のアートユニット、米谷健＋ジュリア。京都府在住で、有機農業も営みつつ制作活動を展開している。おもに環境問題をテーマとした大規模インスタレーションで知られる。加えて、パフォーマンス、立体や映像など様々な表現方法で、環境問題や社会問題を美的かつユーモア溢れる作品に変換し、国際的にも評価を受けている。

　米谷健＋ジュリアの代表作である、ウランガラスを用いたシャンデリアのインスタレーション《クリスタルパレス：万原子力発電国産業製作品大博覧会》は、一点一点に原発保有国の名前がつけられており、作品のサイズは、その国の原発からつくり出される電力の総出力規模（メガワット：IAEA資料参考）に比例している。

　1851年に開催された世界初の万博、ロンドン万国博覧会の会場としてハイドパークに建てられた全面ガラス張りの巨大建造物「クリスタルパレス（水晶宮）」に由来する本作は、世界中で展開される産業政策と経済発展の影に存在する問題を、ウランガラス特有の緑の光を放ちながら照らし出し、私たちに問いかけている。