藤城嘘「Eyes over the horizon」

　Miaki Galleryで、藤城嘘による個展「Eyes over the horizon」が開催されている。

　本展では、絵画に描かれる「アニメアイ」と「水平線」という藤城の象徴的なモチーフを通じて、作品が持つ新たな可能性を探る。

「アニメアイ」がキャンバスに現れると、そのキャンバス自体がキャラクターに変貌したかのような感覚が生まれ、そこに一本の水平線が加わることで大きなスケールの風景や輪郭を得た顔が同時に浮かび上がる。さらに、複数の水平線が引かれたり「アニメアイ」が分裂し増殖すると、「キャラクターの存在は不確かだ」という感覚と「キャラクターたちはすぐそこに潜んでいる」という感覚が交錯し、観者に新たな視覚体験を提供する。

　藤城は、緻密な作画や美麗なCGに魅了されるいっぽうで、それらの表現の手前にある「キャラクターの眼と水平線」という現象に心惹かれ続けてきた。植物のように生え、装飾紋様のように分裂し、岩肌の染みのように隠れるキャラクターたちとその眼。それらが非具象的な色彩や記号の群れ、あるいはだらしない落書きのような要素と交わり、ひとつの風景として表現されている。

　本展は、藤城が活動初期から無意識に描いてきた「アニメアイと水平線」を意識的にひとつのシリーズとして展開する初の試みとなっている。