EXHIBITIONS

加納光於展 《雲形の遍歴者》「伊勢物語」第六段拾遺

ギャルリ プチボワ
2025.01.14 - 02.01
 ギャルリ プチボワで「加納光於展 《雲形の遍歴者》『伊勢物語』第六段拾遺」が開催されている。

 加納光於(1933〜)は独学で銅版画を学び、1950年代半ばから作品を発表。1960年代にはリュブリアナ国際版画ビエンナーレ、東京国際版画ビエンナーレなどの国際展で評価を高め、日本を代表する作家となった。

 初期の作品は、植物や生物を思わせるモノクロームの銅版画を中心に、その後メタルプリント、リトグラフ、オブジェなどを発表。また、瀧口修造、大岡信など詩人とのコラボレーション、舞台美術、ブックワークなど幅広い活動を行い、1980年代からは色彩豊かな油彩を発表している。

 本展では、1999年に連作として制作されたシリーズ《雲形の遍歴者》「伊勢物語」第六段拾遺の油彩57点のうち26点を展示。

 タイトルにある「伊勢物語」は、貴族である在原業平を思わせる主人公の恋物語を中心とした和歌と小編の物語からなる平安時代の歌物語だが、古典文学に興味を持つ加納が様々なイメージを展開しつくられた同シリーズは、小品ながら濃密な色彩が折り重なり、色彩の洪水とも評される加納の生み出す豊かな表現は、時を経て観者に新たな気付きを与えてくれるかもしれない。

 油彩作品に加え、1970年代のシリーズ「稲妻捕り」、1960年代から2000年代のインタリオやメタルプリントなど約20点も展示している。