奥村浩之展 OKUMURA Hiroyuki 「風と波」そして奥能登・再生への思い

　ギャルリー東京ユマニテ bisで「奥村浩之展 OKUMURA Hiroyuki 『風と波』そして奥能登・再生への思い」が開催されている。

　奥村浩之は1963年生まれ。金沢美術工芸大学で彫刻を専攻、1988年に同大学大学院修士課程を修了。学生時代にメキシコを訪れ、ピラミッドなど古代文明における表現の自由さに感銘を受けた奥村は、1989年にメキシコへわたり、以来35年以上メキシコで作家活動を続けている。メキシコ各地の美術館で個展を開催、パブリックアートも数多く手がけた。2023年には石川県珠洲市で開催された「奥能登国際芸術祭2023」に幅5メートル、高さ3メートルの大作《風と波》を出品し、日本海を望む海岸沿いの風景に溶け込みながらも存在感を放つ作品は好評を博した。

　2024年1月1日に発生した能登半島地震により、奥村の作品が設置された鰐崎海岸は隆起し、海岸線が海側へ大きく広がり、作品付近まで地割れが発生。しかし作品が倒壊することなく、1ヶ所の角が長さ60センチメートルほど破損した以外、目立った被害はなかった。

　本展では、《風と波》に関連した新作彫刻5点に加え、破損して欠け落ちた岩塊を出品。《風と波》の石膏マケットのほか、制作過程や被災後の現状報告など、写真や映像によるドキュメントも展示される。