HAIKUとHAIGAー芭蕉と蕪村、2人のカリスマー

　嵯峨嵐山文華館で、企画展「HAIKUとHAIGAー芭蕉と蕪村、2人のカリスマー」が開催されている。

　俳句で知られる、松尾芭蕉、そして与謝蕪村。本展では、松尾芭蕉直筆の《ふる池や》短冊や、同じく芭蕉が自ら筆をとって描いた絵が添えられた《野ざらし紀行図巻》、蕪村が直筆で俳句と絵を描いた《いかだしの》など、俳句そして俳画の秀作を紹介。

　俳句はわずか17音のなかに、季節を表す言葉を読み込むという約束事がある。当初は「俳諧の連歌」と呼ばれ、数人または数十人で読む連歌のうち、身近な題材や滑稽な内容のものを指した。その後、松尾芭蕉（1644〜1694）の登場によって、連歌の最初の句（発句）だけを詠んだり、鑑賞するようになる。「俳句」という語が用いられるのは明治時代以降のこと。テレビ番組などの影響で最近人気の俳句だが、海外でも「Haiku」として知られており、学校の教材として使われることもある。そんな俳句を芸術の域に高めたのが松尾芭蕉だ。

　いっぽう、俳画は、俳句と絵がひとつの画面にかかれた作品のこと。芭蕉をはじめ、多くの俳人たちが揮毫した。なかでも、与謝蕪村（1716〜1783）の俳画はとくに優れている。蕪村の俳画は、俳句に詠まれた情景や事柄をそのまま描くのではなく、見る人の想像が膨らむような趣向が凝らされている。

　本展では、芭蕉の《「ふる池や」発句短冊》や芭蕉自ら文章と絵を記した《野ざらし紀行図巻》、与謝蕪村の《「いかだしの」自画賛》に加え、蕪村の弟子や同時代の画家が描いた俳画の優品を展示している。