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篠田桃紅 朱のかたち

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 岐阜現代美術館 桃紅館で「篠田桃紅 朱のかたち」が開催されている。

 水墨の線と面が共鳴し余白と呼応する、緊張感とエネルギーに溢れる篠田桃紅の水墨は、「私のかたち」を追求することでたどり着いた、墨による抽象表現だ。墨によって象られる線やかたちは、書から出発し、見えない心のかたちを表現するために絵画へと変化した。

 なかでも、朱は桃紅作品において、朱泥で印するために昔から傍らにあった色であったが、1970年頃から墨にあしらわれる線として画面に登場し、作品のなかで重要な役割を担うようになった。1980年代以降はますますその存在感を増し、幅広の刷毛で描かれた面として現れた朱の豊かなかたちは、寡黙な墨色の世界とは異なり、大胆で熱情に溢れる画面をつくり上げた。

 本展では、一条の線となって作品を彩る朱や大胆に画面を構成する朱など、作品に現れた様々な朱のかたちに注目する。