EXHIBITIONS

高木誠「生きている大地」

©Makoto Takagi

 コミュニケーションギャラリーふげん社で、高木誠による個展「生きている大地」が開催される。

 高木誠は1957年愛知県岡崎市生まれ。高校から登山を始めた高木は、世界的に活躍する山岳写真家・水越武に影響を受け、山岳写真を撮り始める。1984年から1994年まで二科展に7回入選、2001年には組写真《生きている山》で第1回田淵行男賞受賞を受賞。近年は、日本の第一級の山岳景勝地であり、国内外から年間120万人以上の観光客が訪れる上高地(長野県松本市)を自身のメインフィールドと据えて、20年以上撮影を続けてきた。2010年には、梓川流域を「氷河遺跡」とする視点で、10年以上かけて取材し自然科学の観点でまとめた写真集『氷河の消えた山』(東京新聞出版部)を上梓した。

 本展では、高木のライフワークである上高地の撮影を継続して、前作から14年ぶりに刊行される写真集『生きている大地』より、34点のモノクローム・オリジナルプリントを展示。

 本作は、1万2000年前の大噴火からの悠久の時の流れによって醸成された上高地の美しい地形と、そこで育まれた原始的な自然に相対した時に感じられる「霊性」を表現したモノクローム作品だ。森羅万象に魂を見る、「日本人の自然観」を手がかりに、穂高岳などの高山と、梓川が時を刻み形づくる谷や岩、そして多彩な生命が育まれる森林や湿原を通して、上高地の中にひとつの輪廻を見出した。

 会期中には、写真集『生きている大地』に寄稿した、東京都現代美術館事業企画課長の関次和子をゲストに迎え、ギャラリートークも開催される予定だ。