EXHIBITIONS

美しい春画-北斎・歌麿、交歓の競艶-

2024.09.07 - 10.14, 2024.10.16 - 11.24

喜多川歌麿 夏夜のたのしみ(部分) 個人蔵 通期展示

 細見美術館で「美しい春画-北斎・歌麿、交歓の競艶-」が開催される。

 春画は、一般に、人間の性愛を描いた絵画の総称で、男女の姿がおおらかに、ときにユーモアをもって描かれている。江戸時代には「笑い絵」とも呼ばれ、浮世絵の普及とともに、大名から庶民まで貴賤を問わず、男女対等に楽しまれた。また、春画は縁起物でもあり、嫁入り道具として母から娘や嫁に受け継がれていた。

 しかし、明治時代以降、西洋的倫理観の流入にともない、春画はタブーとみなされ、秘すべきものとされるようになるも、2013~14年、ロンドンの大英博物館で「春画 日本美術の性とたのしみ(Shunga sex and pleasure in Japanese art)」が開催され、春画の高い芸術性とユーモラスな発想が海外で高く評価される。そして、2015~16年には、日本では初めてとなる本格的な「春画」展が永青文庫(東京・目白)と細見美術館(京都・岡崎)で開催され、大きな注目を集めた。これを契機に春画をめぐる環境は大きく変化し、多くの一般の方々の関心が高まり、浮世絵研究においても春画は特殊なジャンルではなく、絵師の作画活動のひとつとしてとらえられるようになった。
 
 本展では、版画・版本の作品に加え、とくに「肉筆春画」に焦点をあて、書籍などに掲載され、存在は知られながらも、美術館での展示が叶わなかった作品を紹介。日本の美術館では初公開となる葛飾北斎の幻の名品「肉筆浪千鳥」や、喜多川歌麿の大作、さらには海外から里帰りを果たした作品を含む、精選された美麗な春画 約70件を展示する。