山本昌男「生物 ≅ 静物」

　ミヅマアートギャラリーで、静謐で詩的な写真作品やインスタレーションで知られる山本昌男による個展「生物 ≅ 静物」が開催される。

　本展では、山本が新たに取り組んでいるアンブロタイプ （ambrotype） という19世紀の写真技法をもちいた作品を発表。近年盆栽や木の根、路傍の石に向かいあってきた山本は、それらのような世界の小さなひとかけら、あらゆるものに宇宙が宿っていることを見出した。山本は次のように語っている。

「身の回りのありとあらゆるものに、生命は宿るのかもしれない。自然物だけでなく人工物にでさえ、息遣いを感じることがある。『生きている』とは、いったい、何だろうか。言語化できるような明確な意味はないままに、好き勝手に、モノとモノを組みあわせていく。

　それらのモノで空間が構築されて、そして、私は写真に置き換える。その刹那的な絵のなかでは、生物が静物となり、また、静物が生物となったような気がした。渡り鳥がどこまでも自由に大空を飛び回るように、私も、はっきりとした境界のない世界を漂っていたい」。

　本展は、台座に1点ずつ展示したアンブロタイプによるガラス湿板写真を中心に、壁面にはガラス湿板を原板にもちいたゼラチンシルバープリント、小展示室には様々なシリーズのなかから選ばれた作品を展示する。