渡邊涼太「Reflection（Times）」

　SOM GALLERY で、渡邊涼太による個展「Reflection (Times)」が開催されている。

　渡邊涼太は、2023年に東京藝術大学大学院美術研究科修士課程を修了後、東京を拠点に作品を発表。筆で純粋に描く行為と、自身で作成したカッターナイフなどを用いた道具で絵具をのせて削るという破壊行為を一つの画面で行い、画面にそれらの痕跡を残しながら作品を制作。渡邊は、絵画が絵画たりうる根源を追い求めると同時に、時代の鏡面としてのポートレートや風景を描いている。渡邊の絵画技法は、筆跡の生々しさ、濃厚さを漂わせるルシアン・フロイドや、要素を削ぎ落とし本質に迫ったアルベルト・ジャコメッティなどの実存主義を踏襲、現代のアプローチへと転換し、キュビズムに通ずる絵画史の更新へ挑戦している。

　　本展では、現在の渡邊の地点を表すことを意味し、昨年より発表を開始したポートレート作品である《星屑》に、筆跡の濃淡を使い分けた《Sirius》を発表。大作を含む約5点の平面作品が公開されている。