渡辺豊は1981年東京生まれの画家。2007年に武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻油絵コースを修了した。近年のおもな個展に「Melting land」(実家 JIKKA、東京、2015)、「The good old things is new forever」(switch point、東京、2016)、「soft construction」(Maki Fine Arts、2017)などがある。
今回、東京・神楽坂のMaki Fine Artsで開催される個展「NAME」は、展覧会タイトル通り、「名前」をテーマに展開された肖像画シリーズで構成される。
日常生活において、名前を書くなどの行為に対して「その文字によって刷り込みのように行動が限定されていく感覚」を受けたという渡辺。本作では、その感覚を出発点として、人物の名前や苗字をインターネットで検索し、検索結果のイメージから再構築した多面的な人物を描きあげている。
これまで、無機物を絵画制作のモチーフに選んできた渡辺が、その対象を有機的な人物に移した本作。その新しい試みを目撃したい。