ショウケイギョウ「夏の眼であなたを見ている」

　下北沢アーツで、ショウケイギョウによる個展「夏の眼であなたを見ている」が開催される。

　ショウケイギョウは1992年中国山東省生まれ。中国で文学を学び、三島由紀夫なども読んでいた。私小説など人の心を細やかに表現する日本文学にとても惹かれるようになり来日を決意。2023年に武蔵野美術大学で油画専攻を卒業。卒業制作《万雷と踊れば》は、人間、動物、植物が渦巻きのように踊り混ざりあう様子がのびのびとした筆致で表現した。

　ショウケイギョウは、現在、美術とは異なる業界で働きながら、気に入ったアトリエを見つけ、制作活動を続けている。カメラを携え、公園、道、部屋など、日常のありふれた場所で「命」を感じたとき、シャッターを切るという。写真を参考にしながらも、絵画ではあくまで生命の「動き」に注目。時にダイナミックに、時に密やかに、命が放つ凛とした光の煌めきが画面に写し取られる。そこには限りある命をそのままに肯定しようとするショウケイギョウの視線も感じられるだろう。

　本展が初個展となるショウケイギョウ。淡く儚く力強い「生命」を祝福し、瑞々しく表現しようと試みるショウケイギョウの絵画世界に触れてみてほしい。