EXHIBITIONS

岡安秀士「Drowse / Quiet Dawn 微睡の中の 静かな夜明け」

2024.06.29 - 07.16

岡安秀士 Drowse / Quiet Dawn 1524 × 2032 mm キャンバスにアクリル 2024

 京都 蔦屋書店で、岡安秀士による個展「Drowse / Quiet Dawn 微睡の中の 静かな夜明け」が開催される。

 岡安秀士は、ニューヨークを拠点に活動するアーティストだ。写真やドローイングにより集めた日常の膨大な記録を再構築し、独自の心象風景を描いている。本展は、関西では初の個展開催となり、最新のキャンバス作品のほか、寄木で表現したニューヨークのレンガ造りの建物とセラミックのフィギュアを組みあわせたランプ型の彫刻作品を発表。

 本展のメインビジュアル作品である「Drowse / Quiet Dawn」は、ニューヨークで岡安が見たオレンジ色の蝶、Monarch(オオカバマダラ)がメインモチーフになっている。 この蝶は北米からメキシコを約4800キロメートルかけて移動し、1年のあいだに世代を超えて南北を行き来することで知られている。あらゆる境界を超えて行き来するその姿は、アメリカの移民問題とガザで起きている戦争に対しての希望の象徴として抗議のプラカードに描かれたこともあった。

 本作は、中国の思想家・ 荘子の「胡蝶の夢」のエピソードを読んだ時の記憶とあわせて、過去にニューヨークの道端でこの蝶に遭遇した時の記憶や、ニュース番組で見かけた蝶が描かれたプラカードを掲げた人の姿など、岡安が微睡(まどろみ)のなかに見た様々な記憶の断片をつなぎあわせて描かれている。一枚のキャンバスのなかで現実と夢、日常とオンライン越しに見る遠くの世界、過去と未来など、相反する世界が交差して、自由に飛び交う蝶がその二面性の共存を表現。