城田圭介「波と海」

　Maki Fine Artsで、城田圭介の新作による個展「波と海」が開催されている。

　城田の作品は、写真の周囲に拡張するイメージを描き加えることにより、視覚の外側にあるもの（記憶の不確実さ）を可視化し、「見ること」についての意味を意識させる。写真の周囲のイメージは、写真に写っている情報を頼りに油彩で描き出されるが、画面上の所々に見られるイメージのズレや余白が、断片的に途切れたような記憶の曖昧さを感じさせる。あえてそのような痕跡を残しながら、複数の写真からイメージをつなぎあわせ、全体へと集約させるように描かれ帰結される。

　Maki Fine Artsでの3回目の個展となる本展では、海辺の風景を描いた新作を発表。美術作品の普遍的なモチーフである海は、城田にとっても身近で日常的なものであり、必然的に選ばれた題材となっている。