EXHIBITIONS

没後35周年記念

平野富山展 ―平櫛田中と歩んだ彩色木彫、追求の軌跡

2024.06.06 - 07.15

平野富山 羽衣舞 昭和58(1983) 木、彩色 静岡市

 静岡市美術館で「没後35周年記念 平野富山展 ―平櫛田中と歩んだ彩色木彫、追求の軌跡」が開催される。

 静岡県庵原郡江尻町(現・静岡市清水区江尻東)出身の平野富山(ひらの・ふざん、1911〜89)は、日本近代彫刻史上、重要な彩色木彫家の一人だ。人形師・池野哲仙(いけの・てっせん、1880〜1936)のもとで学んだ確かな彫技と彩色技術により、伝統的な主題から今日的な女性像まで、超絶技巧とも言うべき作品を生み出した。

 また、富山は彫刻家・齋藤素巖(さいとう・そがん、1889〜1974)に師事して西洋彫刻も習得し、日展を中心に活躍。さらには木彫界の巨匠・平櫛󠄁田中(ひらくしでんちゅう、1872〜1979)に厚く信頼を置かれ、数多くの田中作品の彩色を手がけた。

 本展は、平野富山の彩色木彫や西洋彫刻など約60点のほか、平櫛󠄁田中や関連作家らの作品約40点により、日本近代における人形、彩色木彫、西洋彫刻の三つの領域を横断し、彩色の専門家としても作家を支えた富山の仕事の全容に迫る初の試みとなる。