三瓶玲奈「光をたどる」

　Yutaka Kikutake Galleryで、三瓶玲奈による個展「光をたどる」が開催されている。

　線や色、あるいは光や温度といった諸要素についての考察を通じ、自身の絵画を追求し続ける三瓶玲奈。知覚とイメージの問題を「線を見る」や「色を見る」といった個々のテーマに連ね、制作を積み重ねてきた。

　本展は、作家のスタジオで撮影された写真に、三瓶のテキストを挿入した初の書籍「スタジオと絵を思考する」の出版を記念して開催されている。十数点に及ぶ新作群の展示は、各テーマを再解釈しF3号に統一して描き直すという作家の「スタジオピース」の実践が発展したかたちともいえ、これまでの三瓶の制作、および問題意識を改めて比較考察し、その差異がもたらす出力の違いにフォーカスをあてるスリリングな内容となっている。

　会場では、三瓶が長年スタジオで積み重ねてきた考察と実践の繰り返しを、書籍という形式を伴いつつ、展示構成として抽出する。物質性を伴わないイメージを物質的に提示することができる絵画は、作家にとって知覚とイメージの探求を深め、自身の枠を超えて他者との対話を可能にする特別な場となるだろう。