EXHIBITIONS

山本朱音「デッドウェイト」

2024.05.10 - 05.26

メインビジュアル

 Gallery10[TOH] で、山本朱音による個展「デッドウェイト」が開催されている。

 山本朱音は1999年生まれ。2023年に多摩美術大学を卒業。山本は、目を見ると死んでしまうとされるギリシャ神話の「メデューサ」や、天使などのようなキャラクターを描いてきた。表情も性別もない彼らは群をなし戦い涙し、生きづらさゆえの葛藤を見せる。

 最低限の表情しか見せないキャラクターたちは、それでも見つめること、戦うこと、そして理解されることを渇望している。これらの作品は作家の発達障害を持つ弟との関係から生み出されており、本展ではさらに作家と弟の関係に踏み込んだ内容となっている。本展タイトル「デッドウェイト」とは、「それ以上積むと潰れてしまう重さ」を意味する。本展に寄せて、山本は次のように語っている。

「"良いお姉ちゃん"の役割を全うする。それは家族内の環境を悪化させないためなのか、障害児・者(同胞)のためなのか、自己保身のためなのか。家族心理学の研究では、障害児・者の兄弟の子供時期における家族内役割に、親役割代行(parentification)と呼ばれる状態が存在する。これは後に青年期、成人期に移行すると他者志向性の強さ、いわゆる過剰適応状態として残る。同胞と関わることが少なくなったにもかかわらず、周囲の圧に弱く、他者の視線に囚われ続けている。これは家庭環境の問題である。これは同胞との問題である。これは親との問題である。これは他者との問題である。これは自分自身の問題である。自立してもなお、自重で押し潰されていく」(プレスリリースより)。