EXHIBITIONS

長崎県美術館・三重県立美術館コレクション

果てなきスペイン美術―拓かれる表現の地平

2024.05.22 - 07.07

バルトロメ・エステバン・ムリーリョ アレクサンドリアの聖カタリナ 1645〜50頃 油彩、カンヴァス 三重県立美術館

 長崎県美術館で「長崎県美術館・三重県立美術館コレクション 果てなきスペイン美術―拓かれる表現の地平」が開催される。

 本展は、長崎県美術館と三重県立美術館が共同したスペイン美術の展覧会となる。両館は国内では数少ない、スペイン美術の収集と展示を標榜する美術館であり、本展では互いのコレクションから相補的に作品を選りすぐり、いまだ日本国内で広く浸透していないスペイン美術の特徴をとらえ、その魅力に迫る。

 長崎県美術館は、第二次世界大戦期にスペイン・マドリードに特命全権公使として駐在した外交官・須磨彌吉郎が現地で収集した「須磨コレクション」を軸に、中世から現代に至るまでのスペイン美術作品を多数収蔵している。いっぽう、三重県立美術館は、バルトロメ・エステバン・ムリーリョやフランシスコ・デ・ゴヤといったオールド・マスターの油彩画作品を筆頭に、三重県とスペイン・バレンシア州との姉妹提携をきっかけに収蔵されたバレンシアの現代作家らによる作品群を加え、独自のスペイン美術コレクションが形成されている。

 古来、スペインでは豊かな芸術文化が育まれ、独自の美術史が編まれてきた。しかし、これまで日本国内ではゴヤ、パブロ・ピカソ、ジュアン・ミロ、サルバドール・ダリといったスペイン出身の巨匠ら個人に専ら焦点があてられ、中世から現代にいたるスペイン美術史を紹介することに主眼を置いた展覧会は多くなかったといえる。

 本展では、両館が誇るコレクションを結集してスペイン美術の精華を伝えることを目指す。また、「神秘」や「光と影」といった同国の美術史を読み解くためのキーワードによって各章を構成し、スペイン美術の入門編として100点を超える出品作品からその幅広い魅力を伝える。