EXHIBITIONS

山ノ内陽介「形而上的ビバリウム」

CANDYBAR Gallery
2024.04.26 - 05.25

山ノ内陽介 形而上的ビバリウム 2024 oil on canvas 130 × 130 cm

 CANDYBAR Galleryで、山ノ内陽介による個展「形而上的ビバリウム」が開催されている。

 山ノ内はこれまでに、古典絵画の人物を模写し、剥がし貼り付けることによって平面を3次元的にする「皮」シリーズや、ストロークの美しさを追求し描く「ポートレート」シリーズ、一筆描きの筆致によって絵画空間上に奥行きのある形態を描き出す「Mindfulness」シリーズなどを発表してきた。

 本展のタイトルである「形而上」とはおもに、形を持たないもの、有形の世界の奥にある深遠なもの、などの意味がある。美術の歴史のなかでは、20世紀初頭のイタリアにて「形而上絵画」という、瞑想的な風景やどこか辻褄の合わない奇妙な風景など、非日常的な世界を描く絵画様式がジョルジョ・デ・キリコ(1888〜1978)によって提唱された。

 展覧会と同タイトルの新作「形而上的ビバリウム」では、二人の人物や宙を舞う魚、湖面と木々の広がる風景が描かれ、その世界が幻想であると指し示すように画面を囲む紫色の色面が描かれている。会場では、絵画の歴史に向き合い、そのうえで自身の表現を模索し新たな絵画の可能性を追求した作品群が並ぶ。