EXHIBITIONS

アウト・オブ・民藝|「民」から芋づる編 MINGEIのB面!

 生活工房ギャラリーで「アウト・オブ・民藝|『民』から芋づる編 MINGEIのB面!」が開催される。

 1924年4月、柳宗悦は関東大震災を機に京都へ引越し、河合寛次郎や濱田庄司と親しい仲となり、25年12月に紀州の木喰調査の道中で「民藝(民衆的工藝)」という言葉を生み出す。当時、おもに農村や漁村で暮らす人々に向けられた「民」という文字は、民藝に限らず、一般に流布していた民衆藝術、民俗藝術、民謡をはじめ、ウィリアム・モリスの『民衆の芸術』、柳田國男の民俗学、富本憲吉の民間芸術、山本鼎の農民美術運動、今和次郎の平民工芸など様々な場面に登場。そのため、それらの言説のなかで民芸品、民具、郷土玩具、農民美術などに向けられる眼差しも複雑に絡みあっていると言える。

 アウト・オブ・民藝とは、デザイナーの軸原ヨウスケと美術家の中村裕太が展開している活動。「民藝」に分類されるものとされないものの境界を、資料を丹念に読み解き、相関図として可視化するなどの手法で探究し、民藝運動とその周縁を多角的かつ複層的に描き出している。

 本展では、『アウト・オブ・民藝』の著者であるデザイナーの軸原ヨウスケと美術家の中村裕太が、柳らが夢中になって民芸品を収集していた黎明期の民藝運動と、今日のライフスタイルとしての「MINGEI」との食いあわせを「民」という文字からひも解く。会場では、おもに10年代から40年代の新聞や雑誌などの出版物をはじめ、彼らの日記や書などを時間軸に沿わせた「アウト・オブ・民藝の芋蔓年表」を設える。「民」にまつわる文献や物品を芋蔓っていくことで、「MINGEU」とはひと味違ったB面!を掘り起こす展覧会。