齊藤拓未「微かな瞬き」

　GALLERY MoMo Ryogokuで、齊藤拓未による個展「微かな瞬き（またたき）」が開催されている。

　齊藤拓未は1996年東京都生まれ。2018年に武蔵野美術大学造形学部日本画学科を卒業し、2020年に同大学造形研究科修士課程美術専攻日本画コースを修了。その後、東京で個展やグループ展を重ねてきた。

　齊藤の作品には、公園や遊具、学校帰りに見た風景や、その風景のなかに一人どこか遠くを見つめる少女、友達と遊ぶ子供たち、写真をトリミングしたような子供の姿、またその子供たちの視点から見えたような景色が、淡いトーンで描かれている。齊藤は、作品を通じて、幼少期に委ねられた自我の確立や、他者との関係性について深く考察しながら、自身の経験を少女に投影しつつ、残しておきたい目には見えない感情を表現しながら、自己同一性や主体性を探求してきた。

　齊藤は「日常のなかで自分自身に戻っている、正直になれていると感じられる時間や縛られているものから解放されている、社会と距離を置いている状態を描いているものが多い」と語っている。本展では、タイトルの通り、確かに自分を感じる微かな光をとらえながら、またこれまでとは違う側面を見ることで見つけた新たな視点を描いた作品が公開されている。