EXHIBITIONS

高松市美術館開館35周年記念特別展

川瀬巴水 旅と郷愁の風景

川瀬巴水 増上寺之雪 1953(昭和28) 渡邊木版美術画舗蔵

 高松市美術館で、開館35周年を記念した特別展 「川瀬巴水 旅と郷愁の風景」が開催されている。

 大正から昭和にかけて活躍した木版画家・川瀬巴水(かわせはすい、1883~1957〔明治16〜昭和32〕)。近代化の波が押し寄せ、街や風景が目紛しく変貌していく時代に、巴水は日本の原風景を求め全国を旅し、庶民の生活が息づく四季折々の風景を描いた。巴水とともに木版画制作の道を歩んだのが、新時代の木版画 「新版画」を推進した版元の渡邊庄三郎(現・渡邊木版美術画舗初代)や、彫師、摺師といった職人たちだ。四者は一体となって協業し、伝統技術を継承しながらもより高度な技術の活用を求めた。新たな色彩や表現に挑み続け、「新版画」を牽引する存在として人気を博す。

 本展では、季節や天候、時の移ろいを豊かに表現し 「旅情詩人」とも呼ばれた川瀬巴水の画家としての生涯を、初期から晩年までの代表的な作品とともに紹介。まとめて観る機会の少ない連作(シリーズ)も含め約180点が展示され、叙情的な巴水の世界に触れることができる。