EXHIBITIONS

落合陽一「ヌル庵:騒即是寂∽寂即是騒」展

Gallery Restaurant 舞台裏
2024.01.13 - 03.17

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 Gallery Restaurant 舞台裏にて、落合陽一の個展「ヌル庵:騒即是寂∽寂即是騒」展が開催されている。

 落合は1987年東京都生まれ、東京大学学際情報学府を修了し、現在はピクシーダストテクノロジーズ株式会社CEO。2015年には筑波大学図書館情報メディア系助教に就任し、デジタルネイチャー研究室を主宰し、17年より同大学准教授、学長補佐も務める。メディア・アーティストとして、茨城県北芸術祭2016、「Media Ambition Tokyo」(2017、2018、2019)などに参加。コンピュータと、人間や自然といった非コンピュータリソースが親和することで再構築される未来の世界像「デジタルネイチャー(計算機自然)」を提唱し、アナログとデジタルのテクノロジーを混在させた作品を発表している。

 ヌル庵は「光と音のような波が好きだ。またそういった装置が自然化し、風景の一部になりながら寂びていく様子、時間と空間をときに溶かし、存在を曖昧にしていく瞬間に愛着を感じてしまう。静寂は騒がしさのなかから生まれ、また静寂によって騒がしさも生まれる。図と地の関係を音と光のなかに再考し、見るものと見られるもののあいだに新しい自然を構築することを考える」という一連の思考によって生まれた。」

 ヌル庵は物質と非物質、現実と非現実のあいだで新しい共鳴を生み出す空間であり、この茶室は、計算機自然のヴァナキュラー的民藝の一環として、都市の中からプリコラージュされた風景を切り出し、ときに歪め、ときに動かし、それを作品として提示する。日常的に経験する現実とそれが非現実に変容する瞬間をとらえ、無から有へと生じる場所、静寂と騒動が交錯する空間を目指す。

 落合は「構造物や彫刻としてのメディア装置、花を生けるように切り取られた工業社会のインスタレーションの様な偏愛の向かう先は、ときに工業製品のレディメイドであったり習慣的行為であったり、微分された信仰のかたちであったりもする」と言う。本展では、計算機自然のなか、質量にインプリントされた倫理や規範を道具を通じて体得する機会としての茶室のあり方を考える。